【今回の記事】

【記事の概要】
環境がない
図書館に連れて行ってもらった経験がない。
・「これなんて読むの」と質問されても親が答えない
・新聞をとっていない。
・普段、ゲームを無制限にやらせてもらえる。
・食事中もずっとテレビやパソコンもつけっぱなし
大人が読書する姿を一切見せていない。
絵本の読み聞かせをしていない。

   このような環境では、子どもが読書するようにならないのはある意味、仕方のないことかもしれません。なかなか本に手を伸ばすチャンスは到来しませんね。
課題図書はハードルが高すぎ!
   そんな環境で育っている子どもが、幼稚園や学校から「これは推薦図書の一覧です。ぜひ、お子さんに読ませてください」「夏休みの宿題は読書感想文」なんてお便りをもらってきました。でも、急に奮い立って名作絵本を買い与えてたって、興味関心が持てないのは当たり前です。いきなりハードルが高すぎるのですね。ですから、ゲームが大好きな子だったら、それに興味があるのですからゲーム攻略本でもよしとしましょう。ゲームを制覇するためにも必死に読むでしょう。
テレビやゲームと活字の違い
   テレビやゲーム、パソコンの動画は自分が目線を上下左右に意識的に動かさなくても、画面が自動的に動いてくれます。これに対して文章を読む場合は目の筋肉を動かさなくてはなりません本を読んでいないと眼筋が発達しないので、文章を見て目を動かす睡魔が襲ってくるのです。さらに動画は自らの脳で想像して頭を働かせなくても、どんどん情報が入ってきますので推理する力だったり想像力がなかなか養われません。そして、言葉がたくさん耳には入りますが画面からの一方通行でコミュニケーションをとることはできません。ですから、テレビを見せていて会話力が育つとは言えないのです。普段から読み聞かせをしていないのに、急に「これが名作なんだからしっかり聞いていなさい!」と長文の絵本を無理強いすると、かえって逆効果になってしまいます。電車が好きな子は電車図鑑恐竜が好きな子は恐竜図鑑昆虫が好きな子は昆虫図鑑幽霊が好きな子はオバケの本でもいいでしょう。親はちょっと不満かもしれませんが、マンガや攻略本でもゲームに比べたら活字を読む行為には変わりはないので、それだけでも、とりあえず満足しましょうね。

【感想】
   私のこれまでの教師経験から言うと、読書の目的には主に次の2つがあると思います。
①「本の価値や内容を知る
②「活字から内容を理解する力を養う
以下に、それぞれについて考えてみたいと思います。

①「本の価値や内容を知る
   これはいわゆる名作と呼ばれるような本に顕著な面です。例えば以下のようなものです。
正直さや誠実さ
親切や思いやり
希望や勇気
勤労や公共の精神
   また、本が提供する“情報そのもの”も、これにあたります。上記のような道徳的価値観ではなくても、ゲームの攻略本の中で紹介されている“攻略方法に関わる情報”がそれです。また、漫画にもその作品に表されている様々な主題が存在します(例えば昔の漫画では「根性で頑張れば夢は叶う」と言う、いわゆる「スポ根」ものが多かったですが、今はどうなのでしょうか?)。
   これらはいわば、私たちが生きていく上で自分を高めるうえで参考になる情報です。しかし、それらの中でも、多くの大人達が子供に読ませたいと思っているのは、後者のゲームの攻略本やマンガではなく、前者の“名作”と呼ばれる本だと思います。
   しかし、「親の背を見て子は育つ」ということわざがあるように、そのような名作”本に記されている価値や内容は、基本的には手本を示して学ばせる性質のものだと私は思います。例えば、名著「子どもの心のコーチング」の著者である菅原氏は、自身の著書の中で次のように述べています。
親に愛されていると感じることができないと、自分が好きにはなれません。自分の中に愛が見つけられない子は、人を愛することも下手です。自分にも人にも優しくなれないのです。
つまりは、“人を愛する心”は、親がその子供を愛することによってしか教えることができないのです。また、一昨日投稿した記事で紹介した私の姉の娘さんは、誰に対しても分け隔てなく接することが出来る人柄の持ち主ですが、これは誰に対しても笑顔で接する親の“背中”を見て学んだに違いないのです。
   ましてや、仮に親が“親切心や思いやり”を訴えている“名作本”を読ませたとしても、親自身が子供の前で家族の悪口を言ったりからかったりしていては、子供は「“名作”本は所詮“理想”であって、親が今言っているような悪口やからかいが存在するのが“現実”なのだ」と認識してしまい、子供に“親切心や思いやり”が身に付くことは難しいのではないでしょうか?

②「活字から内容を理解する力を養う
   実は、この“力”の方が、①「本の価値や内容を知る」よりも、毎日の生活の中で使われる機会が多いと思います。
   学校の授業では教科書が使われ大量の文章が掲載されています。テストでは必ず問題が文章で出されます。大人でも、調理の仕方が分からなければレシピの文章を読んで作り方を理解します。洗剤の使い合わせを誤ると、命の危険を招くことさえありますが、その取扱い方法についても商品の裏面に細かい文字で文章が記載されています。上記記事中で立石氏がゲームが大好きな子だったら、ゲーム攻略本でもよしとしましょう」とおっしゃっているのも、そういう面での活用性が高いためではないでしょうか?
   ところで、活字の内容を理解する上で、写真はそれを助ける貴重な情報になります。挿絵の無い活字本ほど子どもが苦手な本はありません。絵本の読み聞かせが効果的なのは、文章の内容を理解するための絵がたくさん使われているからです。絵を通して内容を理解すると言っても過言ではありません。その点、ゲームの攻略本には、細かい活字と共に、子供が大好きなキャラクターの絵などがふんだんに使われているので、これ以上読みやすいはありません(マンガは絵が多すぎるので、活字の理解力を鍛えるうえでは不向きだと思います)。
   また、子供は面白いと感じる内容でないと本は読みませんし、面白いと感じる内容なら、親が何も言わなくても勝手に自分から読み始めます。ゲームに関心が高い子供が、親が何も言わなくてもゲームの攻略本を読みたがるのはそのためです。

   こうして見てくると、ゲームの攻略本は、子供にとって最高に面白く読みやすい活字本ということになります。つまり、読書の目的の②「活字から内容を理解する力を養う」をアシストする上でこれ以上ない素材なのです。
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   因みに私が子供の頃は、今のようなデジタルゲームはありませんでした。その代わり、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズに夢中になっていました。探偵明智や小林少年が怪人二十面相とどのような戦いを繰り広げるのか、ワクワクしながら読んでいました。もらったお年玉を全部それにつぎ込んでいたほどです。いわゆる先述のような“名作”ではなく推理小説ではありましたが、あの時の“興味関心”が、知らないうちに私の“読解力”を伸ばしてくれていたのかもしれません。
   本は子供にとって面白いものが最適なのです。

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   今回は、読書に関わる内容でした。“たかが読書”、ですが、“されど読書”です。
ゲームやマンガばっかり読んでないで、少しは読書しなさい!」と不満をぶつけたり叱ったりする親を子供は疎ましく思うでしょう。そのことで、親子関係がギクシャクして、結果的に親子間の「愛着(愛の絆)」にヒビが入ることもあり得ます。
   私がこのブログで、子供との接し方や褒め方・叱り方等について情報発信しているのは、せっかく形成された「愛着愛の絆」を“維持”していただきたいためです。「愛着(愛の絆)」は、子供達の成人後の人格形成にまで影響を与え、子供の一生の幸せを左右するのです。