愛着不全の修復過程は、ある意味、乳幼児期にできなかった愛着形成の過程をもう一度やり直すことです。
   愛着不全を抱えた人が良くなっていく過程で、「母親と布団を並べて寝たい」とか「抱っこしてほしい」と言い出すことがあります。それは、幼いころの心理状態が再現され、子どもが乳幼児期に得られなかった愛情を今与え直してもらうことで、傷を癒やそうとしているのです。傷が回復するためには、まずこの状態が出現することが前提です。
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   しかし、せっかくそうした状態になっているのに、「いい歳して、何を馬鹿なことを言っているの」と、拒絶したり突き放したりしてしまえば、再び殻は閉じてしまい、恨みつらみを募らせていくばかりです。「赤ちゃん返り」をして、親からの愛情を受けたがっているような心が柔らかくなったこそ、幼い子どものように優しく抱きしめてあげ、失われた時間を少しでも取り戻してあげることが重要なのです。
   大人は、同情忍耐を持ち、子どもが自分からもういい」と言うまで付き合ってあげることが大切です。子どもは、「無抵抗で無力な新生児の段階」に立ち戻った時、自分を受け入れてくれるお母さんに対して全面的な信頼感を抱き直すことでしょう。