【今回の記事】

【記事の概要】
   平成23年に大津市立中学校の男子生徒=当時(13)=が自殺したのは「いじめが原因」として、遺族が元同級生らに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が19日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)であり、生徒の両親と姉の計3人への尋問が行われた。3人は、いじめの加害者側とされる元同級生に対し「息子に謝ってほしい」と求めた。
   訴訟は、いじめの有無が争点となっている。父親は「(元同級生側は)いじめではなく遊びだったと主張しているが、いじめ以上の暴力を受けていた。保護者も猛省してほしい」と話した。
   母親も「息子に『ごめんな』と言ってほしい」と述べた。姉は「いじめていたのは事実。ちゃんと認めて謝ってほしい」と訴えた。

【感想】
   記事中に述べられていますが、加害者側は「いじめではなく遊びだった」と主張しています。おそらく、この加害生徒たちは初めから被害生徒を自殺に追い込むつもりではなかったと思います。しかし残念ながら、被害生徒の心の苦しみを理解することができず、結果的に被害生徒を自殺に追い込みました。加害生徒たちは被害生徒が自殺したという事実を聞いたときおそらくまさか自殺するとは…」と驚いたに違いありません。その結果、現在は遺族から損害賠償の訴訟を起こされ裁判沙汰にまでなっているのです。もしかしたら、加害生徒達は今は心の中では「こんな大事になるならいじめるんじゃなかった」と後悔しているかもしれません。
   
   今回私がこの記事を取り上げたのは、単にふざけてからかったつもりでも、被害者を自殺に追い込み、更にこのような裁判沙汰になることがあるのだということを子供たちに知って欲しいためでした。子供達は未成熟な生き物です。「このままだとどういう危い結果が待っているか?」を予測する力、つまり“危険予測能力”がまだまだ育っていないのです。
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世の中の多くの子供達は、6年も前の大津のいじめ自殺事件についてはもう頭の中から消えているでしょう。その証拠に、未だに同じようないじめによる自殺事例が何件も起きています。このような状況の中では、「ふざけていじめているとどういう事になるか?」という事を大人が子供にハッキリと教えてやる必要があると思います。
   
   私も現職の頃は、生徒指導主事として、いじめ行為を行った子供たちに対して、およそ次の事を指導しました。
今あなた達からいじめにあっている友達の心の苦しさは、いじめているあなた達の目には見えない分かりにくいものであるという事
もしかしたら、あなた達のいじめによって〇〇さんが明日自殺しないとも限らないという事
先生自身、高校時代に友人をみんなでふざけてからかい、結果的に自殺に追い込んだ苦しい経験があり、あなた達には同じ苦しみを経験させたくない事
   この様に、「最悪の事態」は決して遠くないところに待っている事を子供達に教えました。すると、子供達の表情は一変し、翌日からいじめ行為は無くなりました。(詳細は本ブログ中「仙台いじめ自殺「学校に言わないでって言ったでしょ!」 〜いじめ指導のあり方を考える〜 ②」参照)

   今回のような報道は、子供達の“危険予測能力”の育成いじめ行為の“抑止力”となるはずです。ぜひ、このニュースを子供たちに知らせて欲しいと思います。