○教えてできたら褒める。
   子どもたちは、成長するにしたがって、いろいろな技能を学びます。社会を生きていくために必要な技能のことを「ソーシャルスキル(生活していくために必要な社会技能)」と言います。そのソーシャルスキルを教える理想的なステップは次の四つと言われています。
  1. ①やって見せる
  2. ②やり方や注意点を教える
  3. ③子どもにやらせてみる
  4. ④できたらその時に褒める

       ソーシャルスキルは様々ありますが、子どもの“自立”につながるソーシャルスキルの学びの場として、「お手伝い」は重要です。子どもが少し大きくなってきたらぜひお手伝いをさせて欲しいと思います。世の中には「子どもにはお手伝いはさせない。子どもには勉強だけを頑張ってほしい。」という考えの親御さんもいるようです。“人生のゴール”が名門校に合格することならばそれでもいいかもしれませんが、教育の本来の目的は「将来の自立ですから、今のうちにお手伝いをさせておくことは、将来、自立して生きるための大切な準備です。
       これは私が大学生の時の笑い話ですが、当時私は学生寮に入りました。食事は出ますが、洗濯は自分でやらなければなりません。そんな時、洗濯室のある洗濯機からものすごい量の泡がモコモコと溢れていました。ある友達が一度にひと箱分の洗剤を全部入れたとのことでした。その友達はそれまで洗濯を一度もしたことがなく、洗剤をどのくらい入れたらいいか分からなかったのだそうです。
       さて、先の四つのステップの中で一番大切なのは「やって見せる」だと私は思っています。子どもは、口頭だけの説明よりも視覚を通した説明の方が何倍もよく理解できます。この「やって見せる」を始めに行い、注意点などを説明してからやらせると、ほとんどの場合子どもは上手にできます。そして、できたら必ず褒めます。せっかくできたのに親が褒めないでいて、「この間はできてたじゃない!」等と子どもを責めるのはお門違いです。子どもは、できたときに褒められることが嬉しいから「次もがんばろう」と思うのです。
       この視覚を通したソーシャルスキル指導が特に効果的なのが、何といってもお手伝いの仕方を子どもに教えるときです。乾いた洗濯物のたたみ方、洗剤を使ってスポンジで食器を洗う時の手順、ごみの分別の仕方等々。これらのように実技に関わることは、いくら口頭で説明しても子どもには伝わりません始めに親がやって見せるから、その後子どもができるようになるのです。
       上手にできれば、もちろん教えたその時に褒めることができますし、手伝ってくれたことを後で家族に紹介してそこでも褒める他の家族からも褒められる。更に、将来の自立した生活に役立つ。いいことづくめです。
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