さて、適切に愛着を形成し、お母さんとの愛の絆を作る子のできた子どもは、お母さんに対してどんな気持ちを持っているのでしょう。発達心理学が専門の繁多(はんた)氏は次のように紹介しています。
この人こそが自分の保護に一番責任を持っている人だ。」
この人はいつ何時でも自分を保護してくれる。」
この人とは意思が通じるし、二人だけで通じるコミュニケーション回路ができている。」
この人といれば安心だ。」(繁田1987
子どもにとっての「安全基地」としての機能がどれだけ大事かということがうかがわれますね。
   子育ては本当に大変です。しかし、話ができない赤ちゃんでも、その笑顔の裏にそういったお母さんへのメッセージを送っているのですね。うらやましい限りです。
   また、岡田氏は次のようにも述べています。「どんな親のもとに生まれようと、子どもは愛されたいと思う。ましてや親から愛されなかった子は、どうやったら愛されるのかと、絶えず親の反応をうかがい、いつの間にか『良い子』として振る舞うことを覚える。その思いは、親から否定され続けた『悪い子』でも同じだ。外では悪いことをしても、母親には逆らえないということが何と多いことか」(岡田2014
   子どもは親を選んで生まれてくることはできません。どんな親でも自分にとっては大好きな親なのです。その思いは、あまりにもけなげで純真です。だからこそ、親はその思いを裏切ってはならないと思うのです。仮に親が子育てがうまくいかない」と嘆いていても、子どもは親のことが好きなのです。
   だからこそ、母親が子どもに対して正しい愛情行為で接することができれば、子供はきっと、もっともっとお母さんのことが好きになるでしょう。
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   しかし、その思いに乗じて親が子どもに対して否定的、虐待的な仕打ちを続けてしまうと、場合によっては、子どもはいつまでもその思いが満たされないため、何歳になっても、「親に認められたい」という思いを引きずって、親に過度に気に入られようとしたり、逆に親を困らせたり反発したりするという形でこだわり続けるのです。(岡田2011