【今回の記事】

【記事の概要】
   娘が春に三年生になりました。
   担任は四月から他の学校から来た女性教諭(40代くらい)どうしても担任に対して良い印象を持てません
   五月に家庭訪問があり、そこが初対面でした。
(四月の授業参観は娘体調不良により行きませんでした。)家庭訪問での話の内容は、今日算数の授業で九九の復習をしたけれど娘さん出来なかった。と…。聞いてみると一番に指名されたが九九の途中でえーとえーとで止まってしまったらしいです。
「算数苦手ですか?」と。
「いえ、好きですよ?二年生の時の学力テストもクラスで二番目だったと二年生の時の担任の先生にも言われてましたし、成績のことで指摘されたことはありません」
と応えたのですが、
あらー?そうなんですかー?なんで九九できなくなっちゃったんですかねー?忘れちゃったんですかねー?
と、納得のいかない様子。
そもそも、成績って学校で記録してないのかな?

   帰宅した娘に今日の授業で答えられなかったの?って聞いたら「緊張して分かんなくなった。」とのこと。「先生に怒られた?」と聞いたら「困るのは自分なのよ?」「勉強ちゃんとしなさい」など私が先生に聞いたよりも大分ガッツリ怒られたらしく…。
   家庭訪問の話はその九九の話良く体調不良を訴える事を指摘されました。
   娘は朝よく頭が痛いやお腹が痛い事を訴えます。親としては取り敢えず学校へ行き、駄目なら先生に言って保健室に行くなりしなさい、駄目なら先生から連絡が来るだろうからそしたら迎えに行くから。と言って送り出していましたが、担任の話では「嘘の体調不良じゃないのか」と思っている様子で「もうちょっと様子をみようか」と言って保健室に行かせていないようです。
   私はその対応にもモヤモヤ。え?保健室に行かせてないの?その辺の対応って精神的なものでもなんでも保健室の先生の仕事じゃないの?と。担任の先生の判断に納得できず…。そんな担任に対して嫌な感じしかしません
   この担任と一年付き合わなくちゃいけないのかと家庭訪問の後からずっと気が重いです。どう付き合っていけば良いでしょうか…。嫌なことは文句言って良いのでしょうか…。保健室に行かせてくれ、とか……。もう、保健室に行かせてくれないなら朝体調不良を訴えたら休ませた方が良いのかな。文句言うなら誰にどういうよう風に訴えたら良いですかね。ちょっと気にしすぎかな…。


【感想】
   このお母さんの悩みの中に、「娘は朝よく頭が痛いやお腹が痛い事を訴えます。」という記述があります。しかし、それが昨年度からなのか、今年度になってからなのか、はっきり書かれていません。ただ、「家庭訪問での話題が九九の話や良く体調不良を訴える事だった」ということ、また「(不信感を抱いている今の)担任の話では『嘘の体調不良じゃないのか』と思っている様子」ということ等から考えると、この娘さんの体調不良は、今の担任の先生になってからのことと考えられます。
   更に「去年まではスラスラ言えていた九九がその先生の前では言えなかった」こと、また娘さんが授業中に九九を答えられなかった理由について「緊張して分かんなくなった」と話しているから考えると、その頭痛や腹痛といった体調不良は精神的なことが要因ではないかと推察されます。具体的に言うと、「もしうまく言えなかったら叱られてしまう」という不安に端を発するストレスが要因になっているのではないかということです。2年生での九九の学習はこの年の最重要課題なので、どの先生も徹底的にトレーニングします。算数の成績が学年で2番だったというこの娘さんなら、一の段から九の段まで30秒もかからず暗唱できるでしょう。一度覚えた自転車乗りと似ていて、3年生になったからと言って忘れることは絶対にありません
   おそらくこのお子さんは、感覚過敏で真面目な自閉症スペクトラム(ASD)の傾向が強いお子さんだと思われます。そしてこの新しい担任の先生は、ASDの子供が最も苦手とする、厳しく、子供にとっては怖い印象を受ける先生なのだと思います。
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   さて、このおかあさんのお悩みの一つに「嫌なことは文句言って良いのでしょうか」という事がありました。
   この事に関わって私は以前次のような記事を投稿していました。
その中で私は以下のような事を述べています。
絶対に、我が子に『あの先生はダメな先生ね!』等と、担任の悪口を言ってはいけません。
そういう担任に当たった時は、親が頑張って担任のいいところを探しましょう。そして、見つけたいいところを我が子に話して聞かせ、『いい先生ね』と子どもの前で褒めるのです。
子どもが担任の不満を言ってきた時には、『先生はきっと……と思ってそうなさったのよ。』等と、担任のフォローをしましょう。

   これらは何れも、
自分はあの先生がキライ。そしてお母さんよくない先生だと言っている。やっぱりあの先生はよくない先生なんだ。
と思う子供を作るか、
自分はあの先生がキライ。だけどお母さんいい先生だと言っている。もしかしたらあの先生はいい先生なのかもしれない。
と思う子供を作るか、の分かれ目になるのです。
この先生はよくない先生」と思っている子供は授業中の先生からの指示や質問に対して無意識のうちに表情のない冷めたような態度を取ってしまいがちです。そうなれば、先生も人間ですから、その子への印象が悪くなり接し方はますます冷たいものになっていくでしょう。反対に子供が生き生きと反応してくれれば、その子供に対する印象が良くなり先生の笑顔も増えるのです。そして、その“笑顔”は感覚過敏の子供にとっては何よりの精神安定剤となるのです(「セロトニン5」の一つ「微笑み」)。
   別に「先生のご機嫌をとってください」と言っているのではありません。子供が前向きに学習できる環境を整えてあげて欲しいのです。家庭で自分も気に入らない先生だからと言って、子供の前で不満を言うことは簡単です。しかし、その為にお家の方が見てない授業で子供の授業態度は無意識の内に悪くなり、その先に待ち受けているのは成績の急落です。

   しかし、だからと言って今の状況をいつ迄も放置していいということではありません。少しでもその先生との相性を改善する努力をする必要があります。実際に“先生”という「環境」が変わらないことには、このお子さんの恐怖心が無くなることはありませんただし、子供さんに気付かれないように気をつけながら
   しかしこの先生は家庭訪問の時に、母親から全学年での算数の実態を聞いた後、「あらー?そうなんですかー?なんで九九できなくなっちゃったんですかねー?忘れちゃったんですかねー?」とまるで他人事のようにあっけらかんと答える先生です。おそらく自分の教え方に非があるとは考えれないし、考えたくない方なのだと思います。そういう先生に我が子の不調を伝えると、まるで自分が責められているような受け止め方をしてしまい冷静に話を聞く事が出来なくなる可能性が高いです。
   そのような時は、外部との窓口役を担っている副校長(教頭)先生に電話で相談するのがベストです。副校長(教頭)先生は校長先生を支えながら先生方を指導的立場にある方ですから、その担任の先生の性格に合ったアドバイスをしてくださるはずです。
   また、その時の為に事前に娘さんから、「自分が先生から言われて嫌だったこと」や「友達がこんな嫌な事を言われた(された)」等をさり気なく聞いておくと客観的な相談になると思います。

   残念ながら学校現場では、教師や友達の言動に対する感じやすさ子供によって違いがあるという事についての理解はまだまだ進んでいません子供がSOSを出しやすい家庭環境を作ってあげて、子供の変化に気をつけて見守って頂ければと思います。