次に、「親の不安定型の愛着スタイルの子どもへの伝達」についてです。
   親が不安定型の愛着スタイルを持っている場合、それが子どもに引き継がれるということは度々起こります。仮に、子どもが困った時に親に助けや親密さを求めた場合、親が安定型である場合には有利に働きますが、親が人と距離をおきたがる「回避型」である場合には、むしろ親から拒絶され失望感を味わうばかりで、うまく適応できません。そのため子供も親と距離を取るようになります
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また、親が他者の言動に過敏な「不安型」である場合にも、親の逆鱗に触れることになってしまい、それ以後子供は親の機嫌にビクビクしながら生活することになってしまいます。つまり、子どもは、親と一緒に生活していくために、止むを得ず親と同じスタイルを身に付けていかざるを得ない面があるのです。一種の本能的な環境適応行動と言えるかもしれません。その結果、世代間の伝承が起きやすいというわけです。
   親が一度身に着けてしまった愛着スタイルを変えることはそう簡単にはできません。なぜならば、親自身も自分の親の愛着スタイルに合わせた生活を幼い時から送ってきたのですから。しかも、親になるのはだれでも初めてのことです。子育てに関する知識は、自分が親から受けていた子育ての仕方しかありません。親から暴力を受けて育ってきた人間は、やはり我が子を力で支配する子育てを行うことになるのです。
   そういうケースでは、親の子育てに対する考え方の転換が必要です。不安定型愛着スタイルの親が、安定型パターンの子どもに育てるためにはどうしたらいいかについては後で述べますのでご参照ください。