【今回の記事】
【記事の概要】
   いじめ被害を訴えていた仙台市の市立中2年の男子生徒(13)が4月に飛び降り自殺した問題で、市教育委員会は19日、教科担当の教諭2人が男子生徒の口に粘着テープを貼ったり、げんこつでたたいたりする体罰を加えていたと発表した。自殺の引き金となった可能性もあり、市教委は事実関係を調べる。
   市教委によると、男子生徒が自殺した前日の4月25日、授業終了の際に生徒が居眠りをしていたため、教科担当の50代の男性教諭が生徒の後頭部をげんこつで1度たたいた。また、今年1月にも生徒が授業中にうるさくしていたとして、教科担当の50代女性教諭が長さ15センチの粘着テープを生徒の口に10~15分間貼り続けたとしている。
   今月18日に別の生徒の保護者から体罰について学校に連絡があり、校長が19日朝、2教諭に確認したところ、男子生徒への体罰について認めたという。
   学校は男子生徒がいじめを訴えていたとして今月、全校アンケートを実施。市教委は在校生への聞き取りで男子生徒に対する在校生からのいじめが8件あったと市議会に報告していたが、教職員に対する聞き取りで体罰の事実を把握できていなかった
   男子生徒は4月26日、自宅近くのマンションから飛び降り死亡した。仙台市では平成26年9月と昨年2月にも市立中の男子生徒2人がいじめを苦に自殺した。
   大越裕光教育長は「体罰は男子生徒が亡くなる前日に起きており、それが(自殺の)原因の可能性が考えられる。(いじめとの因果関係について)調査する必要がある」と述べた。

【感想】
   特定の生徒に対して理不尽な体罰を加えていた教師達。
   周囲の生徒達は、そのように男子生徒に対してぞんざいな扱いをする教師達の言動を見て「先生達もこいつの事をよくない生徒だと思っている」と認識して火に油を注がれるように加勢付いた、つまり、自殺した男子生徒に対する教師達の言動が、生徒達によるいじめを助長していた可能性がある。
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   更に、自殺前日に行われた教師からのゲンコツ体罰。教師からゲンコツで殴られたことで、「もう学校には自分を守ってくれる人はいない」という絶望感を抱き、翌日の自殺に走ったという事も考えられる。
   何れにせよ、教師達からも理不尽な扱いを受けることで、自殺した男子生徒は、学校という環境の中で、言いようのない孤独感絶望感に襲われていたことだけは間違いない。その気持ちは大人の私でも理解できる。

   また、報道では自殺した生徒に関する体罰行為しか報じていないが、居眠りしていた生徒を言葉がけで起こさずに後頭部をゲンコツで殴ったり、うるさくする生徒の口を教師がガムテープで塞いだりという生徒の人権をないがしろにする行為にまでエスカレートしていた事から考えると、教師達による体罰が他の生徒達に対しても日常的に行われていたという可能性も否めない。もしもそうであれば、その行為によって加害生徒達のストレスが膨らみ、そのストレスが立場の弱い生徒に対してぶつけられたという事もあり得る。

   何よりも、正確な情報を集めるために生徒に対してはアンケートを書かせていた教師が、自分達の体罰については、保護者から指摘されるまでその事実を隠していたというこの学校の“隠蔽体質”は、学校教育そのものに対する不信感を更に膨らませるものである。

   本来教師とは、生徒の誤った言動を正しい方向に導き、弱者となっている生徒を守るべき立場にいる人間の筈である。この学校は、その役割をどう自覚しているのだろうか?!