(前回の続き)
  さて、これまで、後世にまで記憶されるに違いない残虐な事件を起こした2人の男性の生い立ちを見てきました。
   皆さんも既にお気づきのことと思いますが、いずれの場合にも共通しているのは、両親とも普通のお勤めをしたりまたは専業主婦であったりと、ごく普通の家庭であったということです。両親が離婚したとか、家庭内に激しいDVがあった等ということでもありませんでした。
   また、父親厳格であったり、母親が自分の子どもに対する確固たる理想像を持ち、その考えのもとに厳しく叱ったりするということも、多くの家庭に見られる環境ではないでしょうか。
   しかし、その叱責の度合いが行き過ぎたり、またはお母さん自身のイライラから子どもにとって予測不可能なタイミングで子どもをヒステリックに叱ったりすると、子どもにとっては愛着障害になるとともに、自分が親から受けた恐怖から生まれる怒りを自分より弱い小動物にぶつけるようになり、それが極度にエスカレートすると、今回の事例のような場合に発展してしまうこともあるのです。
   また、少年Aの場合には、おそらく母親の「できるだけ早く自立をさせたい」という強い思いから、乳児期の間の養育が不十分であったり、生後十か月で離乳を強行したりしたことも、やはり不安定型の愛着障害を招いた大きな要因だったと考えます。
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   白梅学園大学教授の増田氏はこう述べています。
今の親御さんは、お子さんに強くあること、なんでも自分の力でできること、自立することを求めすぎています
   愛着の形成には一年半程度の親からのタップリの愛情が必要ですし、逆にそのような養育を受けた子供の方が自立性を持った大人に育つのです。