【今回の記事】

【記事の概要】
   東京・江戸川区で女子高校生への強盗殺人などの罪に問われている男の裁判に、男の母親が出廷し、「兄弟間での差別を感じたのかもしれない」と証言しました
   青木正裕被告(31)はおととし、江戸川区にある自宅アパートで、アルバイト先の元同僚で高校3年生だった岩瀬加奈さん(当時17)を殺害し、性的暴行を加えようとしたうえ、現金などを奪った罪に問われています。
   青木被告は被告人質問で犯行動機について、「友人付き合いの制限などをする母親への復讐の意味で連続殺人をして死刑を考えた」と話していました。
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証人尋問で青木被告の母親は、「難病になった弟に気をとられ、差別されているとの思いがあったのかもしれない」と話しました。
   また、母親は、岩瀬さんが殺害された翌日に青木被告のアパートを訪れ、玄関先で5分程度話をしたということです。浴室には岩瀬さんの遺体が置かれていましたが、母親は青木被告について、「『帰ってよ』という感じはあったが、特別変わった様子はなかった」と証言しました。

【感想】
   昨日、この事件についての記事を投稿した。その続編である。
   母親は、裁判で難病になった弟に気をとられ、差別されているとの思いがあったのかもしれない」と証言したとの事。仮に乳幼児期に愛着が形成されていたとしても、弟や妹ができた時点で母親を取られたような錯覚に陥るというケースは全国に無数に存在する。しかし、何故彼だけがこのような特殊なケースに至ったのか?それは、この事件特有の要因があったためと考えるのが自然である。

   この事件特有の要因、それは、前回の記事で報道されていた、人生で友人がたった1人だったこと、そして、31歳にして無職だったことである。これらの事実は、やはり彼の人間関係能力に何らかの未成熟さがあった事を物語っている。
   ではその人間関係能力はどこで欠落したのか?その最も有力な要因として考えられるのは、「最も人間の社会性(人間関係能力)に影響を与える」と先述の岡田氏が指摘する「愛着」の形成である。これについては、昨日の投稿で述べたのでここでは割愛する。

   また、被告は新たに「友人付き合いの制限などをする母親への復讐の意味で連続殺人をして死刑を考えた」という供述をしている。この供述が最大の注目点である。
   記事では、「友人付き合いの制限“など”」と報道されている。当然友人付き合い以外にも母親が干渉してきた事はあったのだろう。その干渉的な態度に怒りを覚えていた事だけは確かなようである。
   口うるさく干渉する母親に対して子供が殺意を抱くという事例は数多く報告されているし、精神科医の岡田氏も著書の中で、そう言う若者が増えている事を指摘している。今回は、母親を殺害したという事例ではなかったが、母親への怒りが犯罪の動機になったという点では一致している。

   改めて、国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ石川尚子氏監修の自立3支援(見守る、任せる、命令しない)」の重要さを感じる。この母親も、干渉しすぎず子供に任せてその様子を見守りながら息子に自立性を育てていれば、少なくとも「31歳無職」という多額の借金を背負う状況は回避できたはずである。