【今回の記事】

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【記事の概要】
(お断り)今回の記事は、専門的な内容で私も理解するまで結構時間がかかりました。以下の「Q」「A」以降はとばして、【感想】(記事内容を分かりやすく整理し直したもの)から読んで頂いた方が分かりやすいかも知れません。
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「いじめを行う子どもの親」に法的な責任を問うことは、はたして可能なのでしょうか?和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に見解を伺いました。

Q.息子が学校でいじめられた……いじめた子の親に法的な責任はある?

A.いじめの加害児童・生徒の親は、被害児童・生徒に対して損害賠償責任を負うことがあります。

いじめが不法行為となる場合、原則として加害児童・生徒本人は、被害児童・生徒に対して、不法行為による損害賠償責任を負います。

   もっとも、自分の行為の責任を理解する知能もないほど幼いときは、未成年者は法的責任を負いません。具体的な年齢が法律で何歳と決められてはいませんので、責任能力の有無は事案毎個別に判断されますが、概ね12歳程度になると法的な責任能力が認められるようになります。

   加害児童に法的な責任能力がない場合、本人は損害賠償責任を負いませんが、その親が監督義務者として被害者に対して損害賠償責任を負います(民法714条)。親は、監督義務を果たしていたことを立証すれば損害賠償責任を免れますが、監督義務の範囲は生活全般に及ぶ広いものですので、親の免責は簡単には認められません

   加害生徒に法的な責任能力が認められる場合、民法714条の適用はありませんが、監督義務者である親は、その監督上の過失に基づき、被害者に対して損害倍責任を負うことがあります

   民法714条の適用がある場合と比べると、親の監督上の過失をどちらが証明しなければならないかという立証責任の点と、監督上の過失と損害との因果関係も立証しなければならない点で、請求する側の負担が大きくなります

   未成年者の親には子を監護・教育する義務がありますから、このように、いじめの加害児童・生徒の親は、被害児童・生徒に対して損害賠償責任を負うことがあります。

   ただし、親の責任は結果責任ではありませんので、例えば、親元から通学する中学1年生と全寮制の高校3年生とでは、同じ様な学校内でのいじめでも親の責任の有無の判断が異なることはあり得ます」(渡邊弁護士)

【感想】

   今回はちょっとストレートな話題ですが、いざ我が子が重大ないじめにあった時に、その行為をやめさせる為の「最終手段」として知っている必要がある内容だと思い、今回取り上げました。

   さて記事には、基本原則として「加害児童・生徒本人は、被害児童・生徒に対して、不法行為による損害賠償責任を負います」とありますが、そこにはある条件が付いています。それはいじめが“不法行為”となる場合」という条件です。「不法行為」とは、「故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を発生させる行為」とされています。これについては、被害生徒が不登校になったとか転校を余儀なくされた等の悪質ないじめであれば、当然「権利を侵害し損害を発生させる」行為と解釈されるはずですから「不法行為」とみなされると思います。

   では、以下に①及び②として整理したいと思います。

①加害児童に責任能力が認められる場合

加害児童に責任能力が認められない場合

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①まずは、加害児童に責任能力が認められる場合について。概ね12歳頃からは責任能力が認められ、親ではなく加害児童本人に損害賠償責任が負わされるとのことです。しかし、監督義務者である親は、その監督上の過失に基づき、被害者に対して損害倍責任を負うことがあるとのこと。正し、責任能力があるとされた子供の場合は、親から自立した一人の独立した存在とみなされるため、その子供の行動親の監督の不備との間に因果関係があるかを請求側が証明しなければならなくなるため、子供に責任能力が認められない場合に比べて、被害者側の負担が大きくなるようです。

   もっとも、親との関係が証明できなくても、冒頭で述べられているように「原則として加害児童・生徒本人は、被害児童・生徒に対して、不法行為による損害賠償責任を負う」という事なので、そのいじめ行為が「不法行為」に当たる場合には、その加害生徒本人に賠償責任が発生します。しかし、その加害生徒がまだ就労していない場合、また就労していても賠償能力がない場合には、結局は親が肩代わりしなければならなくなるというわけです。

②次に、加害児童に責任能力が認められない場合について。仮に加害児童に法的な責任能力が認められない場合は、当然、親が代わって全ての責任を負う民法714条)ことになります。しかし、子供を監督しなければならない範囲は、学校生活、遊び、地域での行動等、生活全般に渡る広い範囲に及ぶため、親はその責任からは簡単には逃げられないということです

   過去には、いじめ事例ではありませんが、小学5年生の子供(11歳)が坂道を猛スピードで走っていてある女性に衝突し意識不明にさせたところ、親の指導の仕方が不十分であったとみなされ、結果的にその子の親が9500万円の賠償を求められたという事例がありました。この事例のように、現実には我が子が普段どんな自転車の乗り方をしていているかを親がきちんと把握し、それに対して十分な指導をする事自体難しいですし、更にその事を証明するとなれば、ほぼ無理ではないでしょうか?子供はいつ、どこで、何をしていて社会的損害を起こすか分からないのですから、考えられる全ての行動について親が監督責任を果たす事など不可能です。

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   何れにしても、加害生徒の親にとっては地獄のような状況に陥るわけです。それだけ、他の子供にいじめを加える原因となる家庭内でのストレスを子供に溜めさせないように、「セロトニン6」による接し方に配慮する必要があります。