【今回の記事】
①「娘も東大理IIIに合格!佐藤ママ生出演!娘の受験対策秘話」(フジテレビ「ノンストップ」9時50分〜)
②「自立できない東大生…グローバル化社会を生き抜いていける?」
【記事の概要】
①(番組で視聴した内容をおこした記事ですが、一部聞き間違いやメモ間違いがあるかも知れません。ご了承ください。)
この春、娘さんも東大理IIIに合格させ、今や子供4人を東大に合格させた佐藤ママをゲストに迎えた特集。以下に主なものを紹介する。
《佐藤ママの指導方針》
◯高校生の娘とお風呂も一緒に入り頭も洗ってあげ、その間を使って少しでも多くの単語などを覚えさせた。
◯「18歳までは失敗させなくていい(心に大きな傷を残したくない)」「どうせ社会に出れば失敗をする。失敗は社会に出てからさせればいい」
◯夏期講習に行きたいと言った娘を娘に「夏期講習は無駄。家で過去問を解いていなさい。」と反対して二日間娘から口をきいてもらえなかった。その後、反対した娘に兄たちからも説得させ納得させた。
《これらに対するパネラーの主な意見》
◯母親に反対する娘に対し兄達にも納得させたのは、兄と母親からの圧力にしか過ぎない。
◯東大に合格させたいと思う親と、「人間力」を身につけさせたいと思う親とでは歩む道が違うので、佐藤ママの言うことを鵜呑みにするのは危険。
《「18歳までは失敗させなくていい」という佐藤ママの考え方に対する賛否を問う一般視聴者への「d」生アンケート結果》
◯一般視聴者は77パーセントが「失敗させるべき」と考えている。
《娘さん本人へのインタビュー》
◯母に感謝はしているが、夏期講習に行けなかった時の悔しさは今も残っている。
②(前略)これは東大の先生から聞いた話ですが、最近は、「ウチの息子はきょうの講義を風邪で欠席したのですが、来週までの課題は何でしょうか?」という電話をかけてくる(東大生の)母親がいるそうです。でも、これはまだマシな方。「今度の合宿の持ち物はなんでしょうか?」「合宿の部屋割はどうやって決めるのですか? ウチの子はどんな人と同じ部屋になるのでしょう?」「もちろん先生(女性)とは別の建物に泊まるのですよね?」なんて聞いてくる強烈なママさんもいるそうです。
頑張って「偏差値の高い」中学に合格する。でもまたすぐに塾や予備校に通わされる。それもすべてママが決める。そして見事、東京大学に合格する。その結果が「これ」です。こんな有り様で日本は「グローバル化社会」を生き抜いていけるのでしょうか?
【感想】
「記事①」の放送を見ていて一番気になったのは、娘さんが夏期講習に参加したいと言った時に、佐藤ママが「夏期講習は無駄。家で過去問を解いていなさい。」と娘と相談もせず完全否定した事です。これは、友達と一緒に活動したいと思う娘の“思い”と“発達段階”を無視した方針です。たとえ親であっても一人格として存在する子供を全否定する事は許されるものではないと私は思います。
また、夏期講習等の活動にさえ参加させないような「孤立学習スタイル」が与える最も大きな弊害は人間関係能力が育たないことです。
ちなみに、今企業側が学生たちに求める力とは、「1位 主体性」、「2位 コミニュケーション力」「3位 粘り強さ」とのこと。
この中で2位に挙げられているのが「コミニュケーション力」なのです。また、常に親のサポートに従いながら生活をしてきた子供たちに、1位に挙げられている「主体性」がどれほど身に付いているかは、親に頼って学生生活を送っている東大生の実態を知らせる「記事②」からも疑問です。
更に佐藤ママは部活動についても「プロになるということでなければ勉強に集中させるほうがよい。運動やって疲れて帰ってくると、勉強する体力が残らない」という考え方のようです。「部活動」という共通の目標達成に向かって仲間同士で支え合いながら過ごす集団活動を経験するからこそ、企業が求めている上記の「主体性」や「コミニケーション能力」や「粘り強さ」が身に付くはずです。一度しかない青春時代に部活動を体験できなかった事は、この子供達にとって一生の損失です。
子供には、社会に出る前に親の手を離れ、仲間と過ごしながら自己決定する体験が必要なのです。この体験をせずにいつも親の指示通りに生活していると、「NHK『ドラマ10』『お母さん、娘をやめていいですか?』」に登場するような自立できない大人に育ってしまう危険があります。その事を物語っているのが「記事②」なのです。
また番組の中では、「東大に合格させたいと思う親と、『人間力』を身につけさせたいと思う親とでは歩む道が違うので、佐藤ママの言うことを鵜呑みにするのは危険」というパネラーの意見がありました。このことについては私も同感であり、以前に尾木ママと佐藤ママとの目的感の違いについての記事を投稿しています。参照頂ければ幸いです。
ただ、親の方針に従って、尊い経験をせずに名門大学に入らせられた子供の人生は一度しかないという事は決して忘れてはいけないのです。