【注目点】

前回まで紹介した子供のそれぞれの愛着パターンは、成長と共にその人固有の特徴が明確になっていき、成人する頃までに「愛着スタイル」として確立される。しかし、それが不安定なものであった場合には人間関係や異性関係等の社会問題を引き起こす。

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   親を始め、子供にとって重要な他者(家族、学校の先生、友人など)との間で様々な愛着パターンが積み重ねられていくうち、10代始めの頃から、その人固有の愛着パターンが次第に明確になります。そして成人するころまでに、「愛着スタイル」として確立されていきます。そしてこの成長してからの愛着スタイルこそが、現実の社会に作用していきます。そして、その愛着スタイルが不安定なものであった場合には、それが発端となって、様々な社会問題(虐待、離婚、引きこもり、いじめ、殺人など)を引き起こすことがあるのです。愛着障害に陥っている人とそうでない人との間には、必ず考え方のズレ、つまりトラブルが生まれます。ちなみに、大人でも、子供の頃の不安定な愛着を引きずっている人は全体の約3分の1にも及び、カップルのどちらかが不安定型の愛着を抱える確率は、なんと50%を超えるのだそうです。さらに、3人の人が集まった時、そのうち1人でも不安定型の愛着を抱えている可能性は70%にも達するそうです。現代の人間関係はそれほど多くの不安定要素を抱えているのです。
   では、大人になってからの愛着スタイルはどのように分類されるのでしょうか。大人の愛着スタイルの判定に用いられる検査には主に次の2つの方法が用いられています。1つは「成人愛着面接」。もう一つは、質問紙による検査で「親密な対人関係体験尺度」と呼ばれるものです。この検査では、愛着スタイルは概ね「愛着回避」と「愛着不安」の2つの要素で決定されます。この愛着回避」とは、親密な対人関係を避ける傾向のことであり、愛着不安」は、ある程度親密な関係を持っていても不安になり、もっと完全な親密さや依存できる関係を求めようとする傾向のことです。
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「愛着回避」と「愛着不安」は人間関係に問題を抱える

この2つの要素がいずれも低い場合は「安定型」。愛着回避が強く愛着不安が弱い場合は「回避型」。愛着回避が弱く愛着不安が強い場合は「不安型」。両方とも強い場合は「(不安に対する)恐れ・回避型」と判定されます。以下に、それぞれの特徴を紹介します。