【今回の記事】
ダウン症候群(Yahoo!ヘルスケア)

【記事の概要】

〈症状の現れ方〉

   つり上がった眼、幅広く扁平な鼻、内眼角贅皮ないがんかくぜいひ(目頭をおおうひだ状の皮膚)などからなる特有の顔をしています指が短いなどの小奇形を伴います。乳児期には体の筋肉が軟らかく、体重の増えもよくないことがあります。
   半数に心臓の異常がみられ、その他、腸の奇形白血病など(合併症)がみられることがあります知能や運動の発達は遅れ、通常の子どもの2倍くらいの時間がかかります年長児でも知能指数は30~50くらいです。ただし、成人では就業している人も少なくありません

〈治療の方法〉

   根本的な治療法はなく、症状に応じて治療を行います。合併症の早期発見や健康管理のため、定期的な健診が大切です。平均寿命は約50歳といわれています。
   重い合併症のないダウン症候群の子は元来健康な子どもなので、訓練・教育的な対応が重要です。最近は早期からの集団保育・教育が望ましいといわれています。家族の会などから情報を得ることも役立ちます。

【感想】
   私は毎朝、手や顔を洗う時、当時小学2年生だったあるダウン症の女の子(Y子)を思い出す
   なぜ手洗いや洗顔の時にその子のことを思い出すかというと、当時Y子と同じ特別支援学級の担任をしていた私は、急いでいる時などは腕まくりもせず水道の蛇口をひねり袖周りに水滴をかけていた時もあった。しかしそのY子は手を洗う前に必ず腕まくりをしていたそのまくり方はとても自然で迷いがない行為だった。つまり完全に習慣化していたのである。私はそんなY子を見るたびに自分を反省し、腕をまくり直してから手洗いをしていたものである。そのため今でも手洗いをするたびにY子のことを思い出し必ず腕まくりをしている。
   手洗いの時の腕まくりを始めとして、日常生活の中の様々な基本的な生活習慣を定着させていたのは当時Y子の担任をしていた女性の先生であった。その先生は当時学年長をしており、私が尊敬する先生であった。
   その先生は冬になると、そのY子と知的障害のある同学年の女の子2人を連れて校庭にあるスキー山(スキー授業のために人工的に作られた小さな山)に行き、スキー経験のない健常児でさえ難しい活動である、スキー板をつけたままスキー山を登る練習をさせ、更に自力で滑り降りる練習を何度もさせていた。障害を持つ子供の冬場の体育というと、とかく雪だるま作りや雪合戦のような雪遊びに終始しがちだが、その先生は違っていた。その2人の女の子も汗だくになって真剣にスキー学習に取り組んでいた。その子たちは、普段の学習でもふざけることなく真面目に課題に取り組んでいた紛れもなくその担任の先生の指導の成果によるものだった。

   ダウン症の子供は、外見から明らかに障害者だということが分かるためか、周囲の人間もおのずと支援の仕方も優しくなり、厳しい指導等は行わないことが多いように思う。しかし、上記記事にもある通り、ダウン症の子供は、重い合併症を持たない限り、「元来健康な子ども」なのである。つまり、その担任の先生のように、いい意味で厳しく、しっかりとした指導をすれば、様々な生活習慣を身に付け、たくましく生きていく力をつける事が出来るのだ。その指導姿勢は、障害を持った子供といえども、その子が備えた可能性を信じ、それを引き出そうとするもので、当時の私の障害児指導のイメージを変えてくれた。
   私が初めて自閉症の子供を担任した時も運良くその先生と同籍だった時で、「遠藤先生、自閉症の子供を持つという事は『子供の前では絶対に自分の感情を荒立てない』という自分の人格を変えるくらいの覚悟が必要なのよ。」と教えてくださった私の師匠である。あの時の助言がなかったら今の私はいなかった。只々感謝である。

この子は障害児だから」という偏見を持たずに、障害児の可能性を信じそれを引き出す指導。今でも忘れる事が出来ない。