【今回の記事】
(映像記事)

【記事の概要】
   大学ではなく、小学校の卒業式に“はかま姿”で出席する子供が増えていると話題になっている。なぜ、小学校の卒業式ではかまが人気となっているのか取材した。
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   卒業式当日の朝、地域の公民館に集まった子供たちの着付けを行っているのは写真スタジオを運営しているお店。着付けを始めた4年前はわずか6人だったが、今年は170人にまで増えているという。
   増えている理由について“アクエリアス”スタイリストの工藤さんは「当店が着付けを始めたのは4~5年前からなんですけど、ファッションリーダー的な子がはかまを着て卒業式に出たのを5年生の子が“まねしたい”と、どんどん連鎖的に増えていった感じですね。親も自分たちが大学の時に着たのを思い出して子供にも着せたいという形ですね」と話す。
   いまでは定番となった大学の卒業式でのはかま姿自分が体験したはかま姿を子供にもさせてあげたいと思う親も多いという。
   さらに“ちはやふる”みたいな着物はないですかという問い合わせが結構あったという。16年の春に上映された競技用カルタを題材にした映画「ちはやふる」。広瀬すずさんのはかま姿に憧れてはかまを選ぶ小学生も多いという。
   料金は着物のレンタルと着付けがセットになったもので3万円~6万円だということだ。晴れ舞台を前にはかま姿で写真撮影する子供も増えている。神奈川・横浜市にある撮影スタジオでは着物の貸し出しも行っていて小学校の卒業式シーズンは成人式よりも忙しいという。
   一方では「ちょっとお金がかかりそうだと思った」「はかまを着るのはすごく良いと思うけど、過剰になりすぎて違う方向に行くのは残念かなと」いう声も聞かれた。
   実際に神奈川県や愛知県などの一部の公立学校では、経済的な理由で衣装にお金がかけられない子供もいることなどから“華美な衣装は控えるよう”にと呼びかけたり、“はかまを禁止にする”学校も出てきている。着付けを行っていた店でも派手になりすぎないように気をつけているということだ。

【感想】
   この記事で感じたことは二つあります。
   一つ目は、家庭間の経済格差が広がっていることです。私の経験上だと、以前はほとんどが中学校での制服か紺色のブレザーを着る子供の中に、1人か2人だけ通常の外出用の服を着ている子供がいた印象でした。しかし当時と比べると今は、華やかな服を着れる子と着れない子の割合が5対5の方向に向かいつつあります。それだけ、以前に比べて、経済的に余裕がない家庭が増えているという事なのでしょう。これは家庭の問題というよりも社会の問題と言えるでしょう。

   感じたことの二つ目は、子供に派手な演出をさせる機会がどんどん低年齢化していることです。
   記事では、自分が“大学”の卒業式で体験したはかま姿を子供にもさせてあげたいと思う親も多いとのこと。しかし、親自身は大学で着た袴をなぜ我が子には小学生という早い時期に着せるのでしょうか?
   この事と同様に、あるテレビでの報道で聞いたのですが、今や幼稚園の謝恩会もホテルで行うケースが増えているとの事です。まだ義務教育が始まってもいない幼稚園でホテルでの謝恩会。更に、そのテレビによると、謝恩会で流すBGMを保護者が好きな世代の曲にするか、子供たちが好きな曲にするかで幹事のお母さん方の中で揉めるケースもあるとか。お世話になった先生方に感謝の気持ちを表す「謝恩会」の意味さえぼやけてきている感があります。
   また、小さい頃から過度に子供を優遇する事は、子供の成長にとってあまり好ましいことではありません。何故なら、「自分が優遇される事が当たり前」という誤った学習をさせ、「自己愛(自分が特別という意識)」の芽を育ててしまう事にもなるからです。
   この背景には、我が子の晴れの機会を出来るだけ華やかにさせてあげたいという親御さんの強い“親心”があるような気がします。その一方で、記事中にあるように、「過剰になりすぎて違う方向に行くのは残念」いう親御さんもいて、経済的な開きの他に、行事に対する価値観の開きも目立って来ているような気がします。

   何れにしても、「なぜその行事をするのか?」という本来の意義や目的が置き去りにされる事は避けたいものだと思います。
   ただ、記事によると「はかまを禁止にする学校も出てきている」との事ですが、その方針に苦情を伝える保護者がいたという報道はありません。他の家庭の事情を理解してくださったのでしょう。過度な「自己愛」には至っていないようです。