‪‬ (この「愛着の話」は精神科医の岡田尊司氏を中心に、各専門家の文献を、内容や趣旨はそのままに、私が読みやすい文章に書き換えたものです)


【注目点】
   前回の続きです。子供は乳幼児期の育てられ方次第で、様々な愛着パターンを示します。どんな育て方をするとどんな子供に育つのでしょう?

   今回は、「不安定型」愛着パターンのうちの「不安型」と「混乱型」愛着パターンについて紹介します。

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③抵抗・両価型(「不安型」)
   抵抗・両価型では、母親から離されると激しく泣いて強い不安を示すのに、母親が再び現れて抱こうとしても拒んだり嫌がったりする。しかし一旦くっつくと、なかなか離れようとしない。母親の安全基地としての機能が、時に安全であったり時に不安でなかったりと、一貫していないために、愛着行動が正負ともに過剰に引き起こされていると考えられる。このタイプは1割程度に認められる。母親自身が、不安が強かったり神経質だったりするために、子供を甘やかしたりする一方で逆に思い通りにならないと子供を叱責したり突き放したりするという一環しない態度をとる場合に見られることが多い。つまり、「よい子であることを強く求めすぎると、子供が自分の想い描いているイメージ通りであれば褒めるが、そうでなければ強く叱る傾向に陥りやすい。そういう子供の場合、褒められている時は親に愛情を示すが、そうではない時は愛情を示さない。そのように、抵抗・両価型の子は、安定した安全基地を持てないために、いつも他人の顔色を伺い相手の気分を害さないように怯えているので、不安障害になるリスクが高く、いじめなどの被害にも遭いやすいとされる。
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④混乱型
   混乱型は、回避型と抵抗・両価型が入り混じった、一貫性のない無秩序な行動パターンを示すのが特徴である。全く無反応かと思うと、激しく泣いたり怒りを表したりする。また、肩を丸めるなど親からの攻撃を恐れているような反応を見せたり、逆に親を突然叩いたりすることもある。混乱型は虐待を受けている子供や精神状態がひどく不安定な親の子供に見られやすい。安全基地が逆に危険な場所となることで、混乱を招いていると考えられる。親の行動が予測不可能であることが子供の行動を無秩序なものにしているのである。混乱型の子供では、その後「境界線パーソナリティー障害(神経症と統合失調症という2つの心の病気の境目にある症状。人格障害。)」になるリスクが高いとされる。