【今回の記事】

【記事の概要】
(WBC第2戦オーストリア戦)集中力が違った。1回表の第1打席。先頭打者の山田哲人内野手(24)が二遊間を鋭く破った。高めに浮いてきた144キロを見逃さず中前打。チームを鼓舞する一打だったが、山田にはチームと同じか、それ以上に、届けたい相手がいた
   前日7日のキューバ戦。同点の4回2死二塁だった。山田の捉えた打球は左翼席に向かった。だが、スタンド最前列で観戦していた男子中学生がとっさにグラブを出してキャッチしてしまった。“捕球位置”が外野フェンスより前だったため、リプレー検証へ。勝ち越し2ランは二塁打と判定された。ざわついていたが、山田は集中していた。何が起きていたのか理解したのは、試合後だった。
   喜びにわくロッカー室で着替えているときだった。何となく無音のテレビに目をやると、あのシーンが流れていた。手が止まった。目に入ったのは捕球直後に大喜びする、丸刈り頭。「グラブを持って来てくれたんだから、野球少年なんでしょうね」。責める気持ちなど、わくはずがなかった。
   そして翌日の朝、歯を磨きながら、ふと、丸刈り頭のことが気になった。スマートフォンを手に取った。「うつろな表情で、フードをかぶったまま。青ざめていた」とあった。落ち込んでいると知った。だから、伝えたかった。「僕は全然気にしてない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」。絶対に打ちたかった。
   それだけではない。侍ジャパンの試合に、グラブを持って来た少年だ。「これも何かの縁だし、将来プロ野球選手になって、一緒に『あんなことがあったね』と懐かしい話ができるように頑張ってほしい。僕も完璧な本塁打を打てるように頑張ります」。山田から少年へ。幻弾は、それ以上の価値を生んだ

【感想】
   昨日投稿したブログで、幻のホームランについての山田選手のコメント(「もっとトレーニングして遠くに飛ばせるようにならないとダメですね。」)をお伝えしたばかりでしたが、今回のメッセージは、それ以上に山田選手の優しい人柄がにじみ出るものです。
僕は全然気にしてない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい
これも何かの縁だし、将来プロ野球選手になって、一緒に『あんなことがあったね』と懐かしい話ができるように頑張ってほしい。僕も完璧な本塁打を打てるように頑張ります

   このニュースは、きっと少年にも届いているはずです。ネット上では数え切れない程の自分へのバッシングがありますが、正にそれらの雑音を山田選手が一掃してくれました。今回の山田選手のメッセージは、正に少年の危機を救う起死回生の大ホームランでした。

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山田選手は少年を救う大ホームランを放ってくれました。

   しかも、「将来一緒にプロ野球選手になろう」という心強い応援までもらうことができました。昨日までは少年にとっては自分のグローブは捨てたくなるほどの辛い思い出が詰まったものだったかもしれませんが、この山田選手のメッセージによって希望に満ち溢れた宝物に変わることでしょう。

   私自身、今回のことで山田選手の人柄に触れ、なお一層“山田ファン”になりました!
   がんばれ山田選手!がんばれ侍ジャパン!