【今回の記事】

【記事の概要】
 山武市上横地の同市立南郷小学校で昨年1月、20代の男性教諭が授業中、当時2年生の男子児童の首をつかんでいたことが22日、同市教委などへの取材で分かった。
 同市教委などによると、同年1月26日、男子児童が授業中によそ見をしたため、男性教諭が注意した。男子児童が前を向かなかったため、男性教諭は首をつかんで前を向かせたという。男性教諭は「注意しても聞かなかったので、『前を向いて話を聞くんだよ』と言って首をつかんだ」と話しているという。
 同校と同市教委は同年4月に保護者を交えて面談。同市教委は「子どもを授業に集中させるためにやむを得ず行った、必要な指導だった」としている。同校では「事実関係を確認中で、今後市教委の指導を受け対応していく」と話している。男子児童の父親(43)は「首を絞められた」として、山武署への被害届の提出を検討しているという。
 文科省の「児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」では、「立ち歩きの多い生徒を叱ったが聞かず、席につかないため、頬をつねって席につかせる」などを「通常、体罰と判断されると考えられる行為」としている。


【感想】
   世の中の学校批判の流れの中で、「またもや、教師による体罰か?!」と思った方もいらっしゃるのでは?しかし冷静に見てみると、今回は少し様子が違うようです。

   今回の焦点は、「男子児童が前を向かなかったため、男性教諭は首をつかんで前を向かせた」行為が体罰に当たるかどうかです。
   ここで、体罰とはどんな行為のことを言うのか?その定義を以下の文科省文書を基に確認したいと思います。

上記資料によると「体罰」とは次のようなことを指しています。
「身体に対する侵害を内容とするもの(殴る、蹴る等)、児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、体罰に該当する。」

   果たして、よそ見を直すために首をつかむことが、「肉体的苦痛」の例として示されている「正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等」程のものであるかどうか?答えは「否」です。「正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持」することは、並大抵のことではありません。本事例の首をつかまれる行為はそれに比べれば何ということはありません。しかもこの教師は、首をつかむ前に一度口頭で注意をしているのです。それでも児童が直さなかったために止むを得ず首をつかんだのです。同市教委が「子どもを授業に集中させるためにやむを得ず行った、必要な指導だった」と指摘しているのは妥当な判断だと思います。ただし、この児童が感覚過敏の発達障害でなければの話ですが。

   今回問題視すべきなのは、「首を絞められた」と警察に被害届を出すことを検討している父親の方です。おそらく、この父親は、我が子の言い分しか聞いていない可能性が強いです。子どもは、親には自分にとって都合のいいことしか言わないことが多いです。我が子が何故担任から首をつかまれたのか、息が苦しくなるほど首をつかまれたのか、どれだけ学校側の言い分に耳を傾けたのか疑問です。ここにも「子ども化」した「自己愛」の大人がいたようです。