【今回の記事】
クローズアップ現代+
「怖い鬼は厳禁!?“ほめられ世代”どう叱る?」

【記事の概要】
   家庭でも学校でも褒めて伸ばす教育が定着し、怒られることに免疫がない若者たちを受け入れる企業では、「褒め方研修」が盛んに行われているようです。
   研修の中では、相手の容姿や雰囲気等を褒めちぎる練習や、部下と話すときマイナスイメージの言葉を使わずにプラスイメージの言葉を使う(例「決断力がない」は「慎重に物事を考える」等)練習が行われていました。
   ある会社では、部下や同僚に対する感謝の気持ちを所定の用紙(「サンクスカード」)に書いて相手に渡すという実践をしており、役職によって書かなければいけないカードのノルマが決まっていました。
   しかし、現場のリーダーは若手を叱らないといけないタイミングでも、(「褒めなければいけない」という気持ちにとらわれて)つい、ためらってしまうという悩みを抱えていました。
   鬼がいなくなってホントに大丈夫?「やさしさ過剰」の風潮に不安の声もあがっています。

【感想】
   小学校でも「友達を1日◯回褒めましょう」「『褒め合いカード』を書いたらお友達に届けましょう」などの実践をすることがあります。しかし、正直「大人の世界でもそこまでやる?」と感じました。しかし、そのような実践で社員の意欲が増してきているそうなので、それだけ今の社員が“子供化”している証拠ではないでしょうか?また、そのような場を設定されなければ部下の良いところを伝えることができない上司も考えものです。
   そんな企業は今、褒めることにとらわれ過ぎて、逆に部下を叱れなくなっているそうです。これは異常事態です。どんなにいい所を伸ばしたとしても、指摘しなければ改善されないことは沢山あるはずで、その点をそのままにしておくと必ず企業に対して只ならぬ損失を招くことになるでしょう。

   実は私は、企業の上司の方々は、ある思い違いをしているのではないかと感じています。それは、「部下が失敗したら叱る」と認識しているのではないかということです。
   例えば、あるプロジェクトに取り掛かり始めた部下が何らかの失敗をしたとしましょう。その時に、まず上司がすべき事は「叱る」ことではなく、失敗の“原因”を考えさせ気づかせることだと思います。
なぜ失敗したのか考えてみよう
部下にそう話す時には「叱る」必要もありませんし「怒る」必要もありません。なぜ失敗したか、その原因が分かれば、自分のどこをどのように直せばいいかが分かるので、若い社員もやる気を起こすはずです。叱る」のは、失敗の“原因”が分かったにも関わらず、その改善のための努力を怠けた社員が出た時で遅くありません。むしろ、失敗の“原因”が分かった部下がリベンジしてくれることを信じれない会社は早晩先行きが見通せなくなるに違いありません。
   しかし現実には、失敗した“結果”だけを取り上げ、いきなり叱り飛ばす上司の方が多いのではないでしょうか?以前投稿したブログでは、23歳で自殺した看護師が先輩看護師から、やはり失敗や技量不足を責められる指導を受けていたという事を紹介しました。失敗の原因も分からずに、上手く出来なかったという“結果”だけを頭ごなしに叱られるのでは、どんな人間でもストレスを感じるはずです。そのために、その厳しい指導についてこれない若者が出てくるのです。
   しかし、だからと言って、今度は逆に褒めちぎり作戦に出るというのは、「指導」という振り子があまりにも反対方向に振れすぎではないでしょうか?失敗したら叱る」と「褒めちぎる」の間の「失敗したら考えさせる」に振り子が止まるようにしてみてはどうでしょうか?
   
   なおこの事は、親が子供に対して接する時も同様のことが言えます。例えば、子供が大切な忘れ物をしたときに「何やってるの!」ではなく「どうして忘れたか考えてごらん」と言えるかどうかです。すると子供は「あ、そういえば、連絡帳にメモしなかったからだ」と気づくかもしれません。子供はそれが分かれば、「今度は連絡帳にメモすれば大丈夫」という見通しが立ちます。見通しが立てばやる気も出ます。
   それがいきなり「何やってるの!」と責め立てられては、恐怖だけを感じ明日からの見通しも立ちません。子供の不安感は増し、母親の「安全基地」としての機能が働かなくなっていくでしょう。なお、「安全基地」の大切さについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
愛着の話 No.3 〜お母さんという『安全基地』〜