【今回の記事】
ライオンは水が苦手、なぜ洗った?同業者疑問

【記事の概要】
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   千葉県成田市吉岡(きちおか)の「湘南動物プロダクション」で23日、飼育されていたライオンが2人にかみついた事故で、重傷を負った2人は、おりの中でライオンを水とシャンプーで洗っていた。同業者らは「ネコ科の動物は水が苦手。なぜ水をかけて洗ったのか」と疑問視する。
   ライオン4頭の飼育経験がある「佐藤動物プロダクション」(横浜市金沢区)の佐藤護社長は「ネコでも水を嫌うのに、ライオンと同じおりに入って水で洗うのは信じがたい」と強調する。佐藤社長によると、普段からおりの中を清潔にしておけば体の汚れを防ぐことができるため、撮影前でも体を洗う必要はないという。「おりの清掃状況に問題はなかったのか。行政がきちんと確認していたかも気になる」と話した。
   県によると、動物愛護法はライオンのような猛獣の体に飼い主が触れる場面は想定しておらず、安全対策は飼育業者の裁量に委ねられているのが実情だという。県衛生指導課の担当者は「おりの衛生状態に問題はなかった」との見方を示しつつ、「体を洗ったのは撮影の準備という特殊事情があったのかもしれないが、普通ならば考えられない」と指摘した。

【感想】
   事故の現場となった「湘南動物プロダクション」とは、テレビ、映画、雑誌等で活躍している動物タレントを育てている会社であるとのこと。有名なところでは、ソフトバンクのCMの「お父さん」役の北海道犬もこのプロダクションに所属しているそうである。
   つまり、記事中の県衛生指導課の担当者の「体を洗ったのは撮影の準備という特殊事情があったのかもしれない」という指摘の「撮影の準備」とは、テレビ映りがいいようにするために行う、人間で言えばメイクのような行為のことを意味していると思われる。
   さて、記事中で紹介されている、同様の業務内容を扱う会社である「佐藤動物プロダクション」の佐藤社長の普段からおりの中を清潔にしておけば体の汚れを防ぐことができるため、撮影前でも体を洗う必要はないという指摘からすると、日常の檻の中の衛生環境に不備があったのではないかと考えられる。つまり、動物の体を清潔に保ちたければ、檻の中の清掃をこまめにしておけばよかったのだ。それを怠ってきたために、シャンプーを使った水洗いをしなければならなくなったのである。
   ライオンが飼育員に噛み付いたのは、人間の商業目的で行われている業務(檻の衛生環境の整備)の怠慢のために大嫌いな水で体を洗われたライオンの「助けて!」という悲鳴だったのではないだろうか?

   私には、人間の商業目的の犠牲になったライオンと、自分の保身のためにいじめと認定しない学校や教育委員会の犠牲になっているいじめの被害児童・生徒の姿が重なって見える。
   最も発言力のない、しかし最も大切にされなければいけない存在であるものが一番のしわ寄せを受けることは決してあってはならない。