【今回の記事】
波瑠vs斉藤由貴「毒親ではなく、仲のよすぎる母と娘」の愛憎ドラマで激突

【記事の概要】
NHKのドラマ10『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK総合・金曜夜10時~・連続8回)。
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   娘、早瀬美月(波瑠)25歳。母、早瀬顕子(斉藤由貴)50歳。美月の中学受験や大学受験、就職の時もいつも二人三脚で頑張ってきた。
   美月は完璧な母のサポートで順調に育ち、今は女子高の英語教師となり、母であり一番の親友である顕子を全面的に信頼していた
   二人はまるで恋人同士のように仲の良い母娘だった。この母娘の密着を父、浩司(寺脇康文)は気にかけていたものの、仕事一筋で二人の関係に踏み込むことができないでいた。そんなとき、新築中の早瀬家を担当するハウスメーカーの松島(柳楽優弥)が、不思議な人懐っこさで二人と親しくなる。顕子は彼を気に入り、美月とつきあうように背中を押すが、美月は松島と会うことで、自分が無意識に母親の顔色を見て生きてきたことを自覚していく。顕子は娘が次第に変わり、自分から離れて行くことに動揺し、自分の一番大切なものを奪われたくない、と次第に心の奥の危険なスイッチが入っていく。そして、ついに松島を誘惑してしまう―

【感想】
   波瑠と斉藤由貴がそれぞれ娘と母を演じたドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」。
   このドラマの母娘関係は、以前投稿した「ママっ子」男子や「ママ充」男子の女子版です。
   幼い頃から「完璧な母のサポート」で育った主人公の女性は、母とは「まるで恋人同士のように仲の良い」関係でした。しかし、大人になった今振り返ってみると、「自分が無意識に母親の顔色を見て生きてきたことを自覚」するようになっていきます。
ママがそう決めたから」「ママに聞いてみないと」ドラマ中では、主人公のそんなセリフが登場します。幼い頃から母の完璧なサポートを受けて育った女の子は、いつの間にか自分の意思ではなく母の意思を基準に生活するようになっていたのです。
   その原因は、母のサポートの“完璧さ”にあります。娘の為と思い、娘のすることの1から10まで母親が指示やアドバイスをし、娘をその通りに操作してきた、俗に言う「過干渉」による養育をしてきたために、娘をまるで母の一部のように育ててしまったのです。その娘は、いつも母の顔色を伺いながら、その言う通りに行動してきたために、いつの間にか自分の意思で物事を決定できない人間になってしまったのです。
   主人公の父も、仕事の忙しさもあり、2人の関係について何も口出しできませんでした。以前お話しした「子供を母から導き出し社会化させる」という「父性」の働きが機能していなかったのです。
   その結果、このドラマの主人公の女性は、幼い頃に母の顔色を伺いながら生活していたように、大人になり高校の教師になってからも、保護者や生徒の顔色を伺いながら生活していくことになり、次第に学級担任としての自信を失っていきます。つまり、精神科医の岡田氏が言うところの「不安型」の愛着スタイルの人間になってしまっていたのです。この「不安型」の愛着スタイルについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
愛着不全にはどんなタイプがあるのか?そしてその要因は?

まるで岡田氏が監修しているかのような、とてもよく考えられた設定になっています。

   子供と親との位置関係は、両者がいつもすぐ隣にいるのではなく、少し距離を置いた位置関係にあるのが望ましいのです。
   以前投稿した記事の中で、「何のために子どもと距離を置くのかということについて述べています。それは、以下のことです。
①子どもに余計な口や手を出さないため
②子どもの様子を見守るため
③子どもに任せるため
④子どもの“自力で出来ること”と“自力で出来ないこと”を見つけるため
⑤「④」で見つけた“良さ”は褒め、“未熟さ”は自力での問題解決の仕方を教えてやるため

この記事の中では、親子の距離が近すぎることの弊害について述べています。詳しくは以下のURLタップにてご参照ください。
「『いつも一緒』の親子はうまくいかない 〜何のために子どもとの距離をとるのか?〜

   最後に、このドラマの主人公のような、“大人になっても自立できない人間”にしないために大切な支援は、以前に投稿した「自立3支援」です。このことについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
これは大ヒット! 子どもが必ず自立します! 〜『自立3支援(見守る。任せる。命令しない。)』〜