【今回の記事】
講談社編集次長逮捕 妻「子育てめぐり夫が暴力」と複数回相談

【記事の概要】
   東京・文京区で2016年8月、講談社で編集次長を務める韓国籍の朴鐘顕(パク・チョンヒョン)容疑者(41)が、38歳の妻を殺害した疑いで逮捕された事件で、妻が、子育てをめぐり夫とけんかになり、暴力を受けたと、文京区の子育て支援センターに複数回、相談していたことが新たにわかった。
   朴容疑者は、妻と4人の子どもの子育てをめぐって、たびたびトラブルになっていたが、警視庁のその後の調べで、妻の佳菜子さんが、3年前に文京区の子育て支援センターに、「夫が子育てを手伝ってくれない。教育の価値観の違いからけんかになり、平手打ちをされた」などと、複数回相談していたことが新たにわかった。
警視庁は、子育てをめぐってのトラブルが、犯行の動機となった可能性があるとみて調べている。

【感想】
夫が子育てを手伝ってくれない。」
この訴えが朴容疑者の怒りに火をつけた今回の事件。
   この訴えは、朴氏の奥さんに限らず抱いている気持ちではないでしょうか?果たして、子育ては母親の仕事なのか、それとも父親も参加すべき仕事なのか、どちらなのでしょうか。

   この問題を考える上で必要になるのが、以前も何度となく話題にして来た「父性」「母性」という生物学的見地からの考え方です。
   ちなみに、「母性」の役割は「子どもの受容」と言われています。昔、父親に厳しく叱られ落ち込んでいる時に、母親から優しく慰めてもらった方も多いのではないでしょうか。あの母親の姿こそ「母性」の現れです。
   それに対して「父性」の役割は、一言で言えば「子供の社会化」です。具体的には「母子分離の手助け」「子供の遊び相手」「子供のしつけ」と言われています。これらの働きがあって、母親から誕生し母親に守られていた子供が、初めて「社会」という皆が暮らす世界へと足を踏み入れることができるのです。この働きが失われると、「母子の一体化(子どもがいつまでも母親離れできない状態)」という困った事態が発生するのです。
   これらの「母性」と「父性」の役割については以下の記事で詳しく紹介してありますのでURLタップにてご参照ください。
母親の役割”と“父親の役割”の違いは何か?

この生物学的な意味での「父性」と「母性」の両者の働きは、我々人類という生物が男と女の協力によって子孫を繁栄させるために神様が与えてくださった働きと言っても良いでしょう。両者の働きがあって初めて人間は、新しい社会の担い手としてふさわしい子孫を残すことができる、そういう生物としてこの世に誕生したのです。精神科医の岡田氏はその著書の中で、「母親のみが育てる場合、(子どもの)“非行”のリスクは5倍程度に増加すると考えられる」と指摘しています。もちろん母子家庭であっても、母親が「母性」のほかに「父性」の役割も果たせばその数値も変わってきますし、現実に両者の働きを一人で果たしているお母さんもいらっしゃるでしょう。しかし、単純に考えれば、「母性」だけでは新しい社会の担い手としてふさわしい子供を育てることは難しいということになります。

   子育ては、「子どもの受容」だけではできません。時には子どもに厳しく「しつけ」をする「父性」の役割が必要不可なのです。