(前回からの続き)
   
   さて、第1章では、「愛着」についての基本的な考え方を紹介しています。その執筆にあたり、私が初めにした事は、まず専門家の方が書いた「愛着」に関わる専門書の中から、子どもを愛着障害にしないために私たちが知っておかなければならない養育の仕方に関わる内容を選んだことです。次に、それらを一般の方にとって理解しやすく読みやすい表現になるように、内容は変えずに文章表現を直したことです。(本稿の信頼性を高めるために、あえて、引用・参考にした原文章は巻末に示してあります。)つまり、専門家の方とお家の方との橋渡し役をしたのです。
   第2章では、子どもを愛着障害にしないための支援方法について述べました。何人かの専門家の方の考えを基に、できるだけ分かりやすく、誰でも実践可能な方法を私なりに考えました。
   第3章では、すでに愛着障害になっている子どもの問題を改善するための支援方法を述べました。その中では、私の教師経験の中で実践したことも紹介してあります。つまり愛着の理論については専門家の文献を基に、そして「育て直し」の方法については主に私の学校現場での実践経験を基にして述べています。
   そして第4章では、まとめとして、私たちはこれからどんなことに気をつけて子どもの養育に当たれば良いのかを述べました。

   ちなみに、この本は大学の先生方が書くような専門書ではなく、お母さん方向けの教育書となるように作りました。もちろん、これからお母さんになる方にとっても、その時のためにぜひ参考にしていただきたいです。

   出産は誰にとっても初めての経験です。しかも、今は各家族化が進み、そのことを教えてくれるおばあちゃんやおじいちゃんとは離れて暮らす家庭が多いようです。さらに、今は母子家庭や父子家庭も増え、お母さんといえども仕事を持たなければなりません。そのために、赤ん坊を保育園の「0歳児教室」という環境に置き、その子の養育を他人に委ねなければならないケースもますます増えてくるでしょう。
   しかし、これからの日本を背負っていくのは紛れもなく、これから生まれてくる子どもたちです。その子どもたちを愛着障害にせず、かつ将来安定した人格を備えた大人に育てるためには、どんなことに気をつけて養育したら良いのでしょうか。仕事を持っている親御さんは、仕事を終えて帰宅した後、その後の少ない時間の中で赤ん坊に対してどのような養育をすれば、愛着障害にならずに済むのでしょうか。またちょっとした嫌なことがあればすぐに大泣きする小学生の我が子の問題を改善するにはどうすれば良いのでしょうか。
   それらのことについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。