【今回の記事】
①宇都宮市女性殺害事件 知人の男を逮捕「冷たくされ刺した」
「別の男にとられるくらいなら殺そうと」

【記事の概要】
①栃木・宇都宮市のアパートで、12日夜、28歳の看護師の女性が、血まみれで死亡しているのが見つかり、警察は、殺人の疑いで、知人の27歳の男を逮捕した。
   殺人の疑いで逮捕された、菅野 龍容疑者(27)は、宇都宮市御幸本町のアパートの室内で、この部屋に住む、知人の看護師・根本 紗貴子さん(28)を、室内にあった文化包丁で刺して、殺害した疑いが持たれている。
   菅野容疑者は「根本さんから、冷たくされたため、刺した」と、容疑を認めていて、警察は、くわしい動機などの調べを進めている。
②栃木・宇都宮市で看護師の女性が殺害され、元交際相手の男が逮捕された事件。
   その後の捜査関係者への取材で、菅野容疑者が「別の男にとられるくらいなら殺そうと思った」などと供述していることがわかった。また、菅野容疑者は、「今月9日から10日まで根本さんと一緒に過ごし、『もう帰って』と言われ、浮気相手がいると思い、カッとなって刺した」と供述しているという。

【感想】
   この容疑者は、典型的な「愛着不全」であり、更に「不安型」愛着スタイルの持ち主だと思われます。ちなみに、この「不安型」とは、一言で言うと、“人の愛情”に対して過度な“不安”意識を持っているという意味です。過度に知人からの愛情も求め、その愛情が得られないと分かると常軌を逸した行動をとるのです。菅野容疑者も、「『もう帰って』と言われ、浮気相手がいると思い、カッとなって刺した」と供述しています。不安意識が極限まで達して、衝動的に包丁で刺したと思われます。

   なぜ、このような愛着スタイルを持つ人間が生まれてしまうのでしょうか?
   精神科医の岡田氏によると、最も陥りやすいケースは、幼い頃からの大人による支配だそうです。①子どもの自立を願うあまり「何やってるの!」「ちゃんとしなさい!」などの刺激的、否定的な言葉を子供に浴びせる場合。また、②親がイメージしている通りだと誉めるが、そうでない時には叱るという両極端な場合です。そんな親の支配を受けながらも、子供は常に親の顔色を伺いながら、何とか好かれようとするので、いつの間にか“愛情飢餓状態”に陥るのです。このことについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
愛着不全にはどんなタイプがあるのか?そしてその要因は?

   このような愛着スタイルを持った人間を作らないために必要なのは、上記のような「◯◯ができたら褒める」という「条件付きの愛」ではなく、「どんな時でも愛している」という「無条件の愛」です。このことについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
要注意! どの家庭も陥りやすい“愛着不全” 〜「条件付きの愛」から「無条件の愛」へ〜

別の男にとられるくらいなら殺してやろう」。
愛着不全が、まるで小説の世界に出てくるような愛憎劇で、最悪の結末をもたらした事件でした。