【今回の記事】
暴行死「もう一人の孫の方がかわいかった」

【記事の概要】
 生後2か月の孫に暴行を加え死亡させたとして祖母が逮捕された事件で、祖母は逮捕前、「もう一人の孫の方がかわいかった」と話していた。
 7日に送検された山内泰子容疑者(66)は、今年4月、娘の自宅で生後2か月の孫、佐伯彩希ちゃんに対し、脳に強い衝撃を与える暴行を加え死亡させた疑いがもたれている。
 山内容疑者は容疑を否認しているが、逮捕前の取材に対し、「もう一人の孫の方がかわいかった」と話していた。
 祖母「(彩希ちゃんも)大きくなったらそれなりにかわいがるけど、いまはまだ(もう一人の)2歳の子どもを重視してかわいがるよと(娘に)言った」「だから彩希ちゃんは放っておいても良い
 彩希ちゃんは山内容疑者に懐かずよく泣いていたということで、警察は犯行の動機を詳しく調べている。

【感想】
   なぜ、この祖母は、「(彩希ちゃんも)大きくなったらそれなりにかわいがるけど、いまはまだ(もう一人の)2歳の子どもを重視してかわいがるよ」「だから彩希ちゃんは放っておいても良い」と考えていたのでしょう。
   それは、「生後数ヶ月では、大人とコミュニケーションも取れないから、熱心に養育してもあまり意味がない」という誤った考え方を持っていたからではないでしょうか。つまり、「愛着形成の『臨界期(1歳半)』前でも、赤ん坊が『この大人が自分を守ってくれる人間かどうか』を本能的に察知している」という考えが無かったのでしょう。この考え方については、以下の記事をURLタップにてご参照ください。
愛着の話 No.10 〜親から適切な養育を受けなかった赤ん坊の悲劇〜 ①

   なお、臨界期までの望ましい養育の仕方については、以下の記事をURLタップにてご参照ください。
愛着形成(愛着形成のやり直し)の仕方 「愛着7

   よって、生後2か月の孫を「放っておいた」という祖母のことをこの赤ん坊は、「自分を守ってくれる人間」とは見なさず、その結果、祖母にはなつかなかったのでしょう。自分になつかず泣いているばかりの孫を祖母は疎ましくなり、この赤ん坊に危害を加えたのではないでしょうか。

   改めて、臨界期までの養育の仕方の大切さを知らされた事件でした。