【今回の記事】
小学校時代の恨みで汚物500回郵送か、40歳男逮捕

【記事の概要】
   小学校時代の恨みを一方的に募らせ、友人らに汚物などを500回以上郵送したとみられる40歳の無職の男が、警視庁に逮捕されました。
 逮捕されたのは東京・武蔵野市の無職・三浦重太容疑者(40)で、去年8月から先月にかけ、70回にわたり、三鷹市に住む男性(40)に茶葉を腐らせ固めた汚物や女性の下着などを郵送した疑いが持たれています。
   警視庁によりますと、三浦容疑者は男性の小学校時代のボーイスカウト仲間で、取り調べに対し「昔、弁当を1人で食べるなど、いじめられたことへの恨みです」などと容疑を認めているということです。
   三浦容疑者は、去年8月以降、ボーイスカウト仲間4人に対し汚物などを500回以上送りつけたとみられ、警視庁が裏づけを進めています。

【感想】
   今回の事件では、汚物などを500回以上郵送したという「仕返しの方法」と、30年ほども前の小学校時代にいじめられた恨みを募らせていたという「いじめられてからの年月の長さ」に驚きが集まっていると思う。
   前者に関しては、送られた側の気持ちを考えると同情の余地はない。しかし、後者に関しては、個人的には理解ができる。 
   おそらくこの人は、自閉症スペクトラム(ASD)の傾向が強いタイプだったのではないかと思う。この傾向が強い人は、「視覚優位の特性から、場面場面の状況をまるでカメラで撮ったように鮮明に覚えているという特性があり、そのためにフラッシュバック(過去の辛かった場面の記憶が突然蘇ってくること)も度々起こる
   学校現場でも友達同士のトラブルは度々起こるが、実際に私も、ある5年生の子どもが、自分が2年生だった頃に辛い思いをさせられた友達のことを5年生になっても恨んでいた、という事例を経験したことがある。周囲の人間は、「なぜそんな前のことをいちいち持ち出してくるのか?」と否定的な印象を持った。しかし、後にその子供はASDの傾向がとても強い子どもであることが専門家の分析によって分かった。

   今回の事例の場合は約30年程も昔の出来事であるが、その人にとっては余程辛い思い出だったのだろうと思う。
   私が以前投稿した記事の中に、以下のようなものがあった。この中で提案した3つの柱のうちの1つ目として「①子どもの特性を理解しそれに配慮した支援」を挙げた。さらに、その特性として、感覚過敏からくる「リアクションがオーバーで極端」という特性を紹介した。
増え続ける不登校 〜全ての子どもが安心して登校できる学校づくり〜 ②

   私たちは、日々人間関係で悩みストレスを抱えている。時には上司や同僚から心無い言葉をぶつけられて、心に傷を負うこともある。心に負った傷は、一晩寝れば修復しているというものばかりではなく、数日間忘れることができず引きずることもある今回逮捕された男性も同じなのである。ただ、普通の人よりも何倍も反応がオーバーなだけなのである。もともと全ての人が感覚過敏のASDの傾向を大なり小なり持っているのだから、決して「あの人だけは特別」という人はいないのである。

   悪いのは汚物を送って逮捕された男性だけではない。いや、むしろそのきっかけを作った当時いじめをした人たちの方が悪いのである。