【今回の記事】
いじめ自殺 届かなかったSOS、「繰り返さぬため」 亡き娘の実名公表

【記事の概要】
 いじめにあった子どもたちが学校へSOSを発したのに、それが生かされなかったケースが相次いでいます。青森で、おととし自殺した17歳の少女。両親は、自分たちのような悲しみを繰り返してほしくないと、実名での公表に踏み切りました。
   大森七海さんは、おととし7月、青森の海に身を投げ、自ら命を絶ちました。17歳という若さでした。
   七海さんは、同級生から無料通信アプリ「LINE」などで、いじめを受けていました。七海さんが残したノートには、「LINE」で自分に向けて投げかけられた言葉がつづられていました。
 「存在自体がうざい」「ひがい者ぶんないで
   異変に気づいた母親は、七海さんが自殺する半年以上前から養護教諭と担任に複数回にわたって嫌がらせをされていると訴えました。しかし、七海さんが自殺した後、学校側は面談の中で、「いじめ」という言葉がなかったことから、「いじめは認識できなかった」と両親に説明しています。
「そんなわけないでしょ、あんなに言ってたのに。家族が訴えているのに、いじめととらずに。でも本当にそうなのかなって。本当は分かっているんじゃないか」「(学校は)何件起きれば危機感をもつのかなって。誰にでもあり得るというか、それは親だったり、子どももそうですけど、先生だったり、いろんな人に気付いてほしい(大森七海さんの母親)
   今年、同じ青森県では、いじめが疑われる子どもの自殺が相次ぎました。8月、東北町の中学1年の男子生徒が、いじめを示唆するメモを残し、自宅で自殺しました。また、そのおよそ1週間後には、青森市の中学2年生・葛西りまさんが、いじめを受けていたことを記した遺書を残し、自ら命を絶ちました。
   七海さんのケースと同様に葛西さんも、事前にりまさんが受けていた、いじめについて、母親が学校の担任に何度も相談をしていたといいます「(去年)9月ごろからは何かされる度、担任に伝えていました。1回や2回ではありません。それこそ何十回もです。当時の担任はこちらが『いじめ』という言葉を使わなかったため、相談内容をいじめと認識しなかったと言います」(葛西りまさんの父親

【感想】
   もはや学校の対応の仕方には開いた口が塞がらない。親が度々学校に相談に言っているにもかかわらず、「親が“いじめ”という言葉を使わなかったからいじめと認識しなかった」「“嫌がらせ”と言っていたから“いじめ”ではないと判断した」という、言葉尻だけを捉えた、まるで言葉遊びのような説明をしているのである。こんな説明をしてまで、いじめがあった事を認めようとしないとは、まるで子どものようである。教育のプロならば、以下の教育の法律に則った筋道だった説明をしてほしい。これだけ全国的にいじめの問題が続発しているのであるから、少なくとも管理職と生徒指導主事が法律の定義を知らないわけがない。もしかすると、素人である親に対してあえて話題に挙げなかったのか?と勘ぐってしまいたくなるほどである。

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)

この法律の中の「第二条」「第二十八条」に以下のように記載されている。

「いじめ」

第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。


「重大事態」

第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。



上記法律に記載されている「いじめ」と「重大事態」についての定義(どういうものを「いじめ」や「重大事態」というのか?)が全ての基本である。決して“言葉遊び”や加害児童生徒の言い分に惑わされることなく、学校との話し合いの根拠としてご活用頂ければ幸いである。
「いじめ」については、被害児童が心身に苦痛を感じているかどうか「重大事態」とは、生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあるかどうか?被害児童生徒が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるかどうか?と、それぞれ規定されている。特に「重大事態」については、「疑い」があればそれに含まれるわけであるから、学校側が「そのような事実はありません」と言っても認められない。以前、原発避難の児童について、学校から「そちらのお子さんが自分からおごった可能性があります」と説明があったという報道を聞いたが、それはあくまで“可能性”であって、逆に言えば「おごらされた可能性(疑い)もある」ということになる訳であるから、「重大事態」ではないという証明にはならないのである。
   何しろこの法律は「いじめ(を)防止(する)対策(を)推進(するための)法」であり、いじめの疑いが生まれた時点で速やかに対策を講じるよう動き出さないと防止にならないのである。

   もしかしたら、この投稿を学校や教育委員会の関係者の方もご覧になるかもしれませんが、あくまでこの投稿は、“誤った、または偽りの説明”のために子どもが辛い思いをし、最悪命を落とすようなことだけは起きないようにするための投稿であることをご理解頂ければと思います。
   これ以上子どもたちの尊い命が失われない事を切に願っています。