【今回の記事】
おやすみロジャーは本当に眠くなるの?内容は?対象年齢は?

【記事の概要】
   現在子育て中のパパママたちの間で「子どもの寝かしつけがラクになった!」と密かに話題になっている「おやすみロジャー」という絵本。なんとこの絵本は、読み聞かせることで子供がすぐに眠くなってしまうという魔法のような本です。特に、お子さんの寝かしつけに苦労している方は必見です!
読み聞かせ方1つにも指定が細かいこの「おやすみロジャー」ですが、本当に眠くなるものなのでしょうか?
   著者はスウェーデンの行動科学者・言語学研究者であり、心理学と行動科学の知識をもとにして、心理学的要素を入れ込み、科学的な効果を狙ってこの絵本を描き上げています。
「なぜか根拠もなく寝てしまう」のではなく、きちんとした心理学的効果を使って眠気を引き出してくれる絵本なのです。
    子供がどうして寝たくない気持ちになるのかを徹底的に考えて、そんな子供たちでも自然に眠くなるような、リラックス効果を狙った指示を細かく入れたストーリーを考えだしたそうです。
また、日本語版の監修をしているのは快眠セラピストの三橋美穂さん。翻訳にあたって、睡眠の専門家の目線からより眠りにつきやすく、リラックスしやすい言葉を選ぶように心がけて完成された本なのです。
   では、「リラックス効果を狙った指示」とは具体的にどんなものなのでしょうか。
   絵本には、同じような繰り返しのセリフが何度も登場します。これは「アファメーション効果」といって、繰り返して自分に言い聞かせることで意識に働きかける効果を狙ったものです。常に繰り返している言葉に意識を集中させて、自分がその状態であるという暗示の効果を高めるためのテクニックです。
   この絵本には眠気を誘うための文章がちりばめられているので、子供が寝付いてしまうようです。
一種の催眠術であり、意識的に副交感神経の働きを高め、自律神経のリズムを整える効果があるとされているのが「自律訓練法」です。一種の自己暗示をかけて、心身の緊張を解きほぐすといったものでリラックス効果が期待出来、安眠につながります。
   理学療法士が医療現場で行うのと同じメソッドも含まれているので、アファメーションと合わせてより眠りにつきやすくなる効果が期待できるというわけです。

【感想】
   みなさんは知っていましたか?行動科学者・言語学研究者であるスウェーデンの著者カール=ヨハン・エリーンさんが、心理学と行動科学の知識をもとにして描いたというこの本。
おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本

「ロジャーを乗せてブランコが、行ったり来たり、ユーラユーラユーラユーラ、ゆっくりゆったり、…」という“繰り返し”の効果で、いかにも自分がそのブランコに乗っているかのような錯覚におちいりそうです(アファメーション効果)。また、読み手の人がわざとあくびをするようにト書きが書かれてあるようなので、お母さんのあくびにつられて、聞いている子どもにもあくびが移るのではないでしょうか?(笑)
   なお、朗読CDも発売されているとのことですが、できれば、実際にお母さんが読んであげてほしいです。子守り代わりにテレビやDVDばかり見せた時の子どもの発達に対する悪影響も報告されていますから、安易にCDに頼らない方がいいと思います。この本の効果は、心理学と行動科学の知識が込められているという文章によるものよりも、実際に、子どもにとっての心理的な「安全基地」であるお母さんが子どものすぐ側で優しい声で読んであげることによって生まれる「守られている」という心理的な安心感の方が大きいと思います。これも愛着形成の行為です。子どもにとっては、夜お母さんに読んでもらいながら寝ることが何よりの楽しみになるでしょう。実際の“母親の温もり”に勝る“品物”はないのです。しかし、この文体効果に優れた品物の登場は、親御さんの寝かしつけの際の読み聞かせに対する意欲を向上させるものです。今こそ子どもとの愛着形成を促進するチャンスです!
   ちなみに、実際にこの本を読んでいる動画も以下の通り、ネットにアップされています。ご参考までに。
おやすみロジャーを読んでみた