【今回の記事】
「ブラック部活」がつらい…生徒より教員の負担重く 指導は仕事? それともボランティア?

【記事の概要】
「部活がつらい」-。このセリフが生徒ではなく、教員側からも聞こえてくるようになった。過度な部活動指導に起因する教員の長時間労働が問題となり、「ブラック部活」という言葉も生まれている。
 神奈川県内の20代の女性教諭は、外が薄暗い午前5時ごろに起床する。6時半には登校し、顧問を務める吹奏楽部の朝練に参加。授業後の放課後も吹奏楽部の指導に当たり、生徒が下校してから採点などの業務を行う。担任するクラスの生徒が休んだり問題を起こしたりすれば、家庭へ電話することも必要だ。帰宅が午後11時ごろになることも多い。
 休日にも練習や大会が入るため、1日も休めない月がある。練習を減らそうにも、休むと生徒の実力が落ちる上、保護者からクレームも寄せられる。「拘束時間が長く、本業の授業や学級運営まで手が回らない」と悲鳴を上げる。
 文科省の担当者も「部活動で土日が全てなくなるのは好ましいとはいえない」と話し、休養日を設定したり、休日の部活動指導に支給される手当てを増額したりするなどの負担軽減策を打ち出した。しかし、休養日の設定について、文科省は9年にも「中学校では週に2日以上、高校も週に1日以上」と指針を出しているが守られていないのが実情で、実効性には疑問の声も上がっている。また、手当ての増額も、根本的な解決にはつながらない。
 教育問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授は「教員の部活動指導は仕事なのかボランティアなのかを明確化するべきだ」と指摘する。現在の部活動の立ち位置はあいまいだ。文科省内に部活動を管轄する部署はない。部活動は学校がやるべき仕事の「校務分掌」の一つに位置づけられているものの、教育課程外の活動教育実習で部活動の指導がないのは課程外のためという。
 内田准教授は「部活動は学校で教育以外の付加的な価値を与える日本特有の文化で大切なシステム」と評価する。一方で「本来自主性を重んじる部活動で平日も土日もつぶして活動するのはやり過ぎ。部活動を仕事としてやるなら賃金を出すべきだし、ボランティアなら相応の日数で活動すべきだ」と話している。

【感想】
   一番大切なことは、決められた時間内で、子どもの自主性を伸ばすという本来の部活動の目的を果たすことである。生徒が時間外に活動したいと言っても諦めてもらうしかない。それも社会勉強である。子どもの希望を受け入れ過ぎて、大人社会のシステムを崩すようなことがあれば、教員が体調を崩したり、そのせいで退職を余儀なくされたりと取り返しのつかないことにもなり兼ねない。子どもの社会人としての成長は、子どもを大人の社会に適応できるようにすることであり、大人が子供社会に適応してやることではないのである。

   まず、生徒についてであるが、部活動に参加している限り、大会等での好結果を目指したいと思うのは当然である。しかし、だからと言って、単純に時間外練習を増やせばいいというものではない。限られた時間の中で、どうすればより効率的な練習ができるかを、部員が考え工夫することが大切であり、その活動こそが部活動本来の目的であるとともに、そこにこそ子どもたちの人間としての成長がある。
   次に、親についてである。記事にもあったが、休日練習をしないと親からクレームがくる学校があるそうである。果たしてそのクレームは子供たちの声の代弁なのであろうか、それとも親自らの発言なのであろうか。もしも前者ならば、そのような過保護な行動はすぐにやめるべきである。自分で直接先生に言うように子どもに指導してほしい。また後者ならば、その親は、既に子どもを追い越して自分自身が「結果至上主義」に陥っている。子どもは、心の中で「恥ずかしいから先生にクレームをつけるのをやめて欲しい」と思っているに違いない。
   そもそも、親が教師に対して「休日も出てきてほしい」等と当たり前のように注文や文句をつけるというのは、「先生に我が子を教えていただく」という考え方が根づいていた昔では到底考えられなかったことである。その教師と親との人間関係の逆転が、昨今の様々な学校問題の要因になっている。次回の投稿で話をするが、福井県では、この教師への信頼感こそが、学力テストベスト3の実績を支えているのである。
   実は、かく言う私も、小学校ながら、コンクールで東北大会出場を目標としていた吹奏楽部の指導をしていた。父母会もあり、やはり過熱気味であった。しかし、そんな中ある懇親会であるお父さんがこう言った。「この部に入ると、子どもの挨拶が良くなるそうです。結果よりもそういう子どもの成長こそが親としては嬉しいです。」まさに、結果よりも人間教育こそが大切だという考えである。
   どうしても休日練習をさせたいのであれば、親が当番制で子供たちの練習の安全監督役を行い、練習は、子供たちによる自主練習を行えばよい。内田准教授が言うように、本来、部活動は自主性を重んじる活動なのであるから、それで十分である。いつもいつも、指導教員の指示通りに行動しているばかりでは、部活の専門的な技能だけは高まるかもしれないが、人間として必要な力を身につけることなく大人になってしまい、自立した社会人にはなれない。この「人間として必要な力」については、以下の投稿を参照してほしい。
社会的自立のために「学力」よりも大切な4つの能力!『キムタク母流子育て』で育む
この4つの力を身につけるうえで、部活動は最適な活動なのである。