【今回の記事】
受験前の「部活引退」がどうにも早すぎる

【記事の概要】

 ベネッセ教育総合研究所が、高校1・2年生に「部活動への参加状況と平日の家庭学習時間」を調査したところ、非常に興味深い結果がでた。「部活動に参加している」生徒は、「部活動に参加していたがやめた」生徒や、「部活動に参加していない」生徒と比べて、平日に家庭学習を「ほとんどしない」という比率が最も低いことがわかったのだ。このデータを見る限り、部活動をやっていない生徒が、勉強を多く時間を割いているわけではない。部活以外に特別な活動をしている人は別だが、部活をする中高生は勉強しない、できない、というのは事実ではないということになる。

   時間に余裕があると、「何をしていたのかわからない」という無駄な時間が増えてしまいがち。反対に自宅での学習時間が限られていると、スパッと勉強モードに切り替えることができ、集中力も自然と高まる。要は「効率」が非常に良くなるのだ。また時間がないことで、計画的に勉強を進めるという「自己管理能力」も養われる

   また親の「勉強しなさい!」という言葉が、子供の学習意欲をそぎ落としているという話をよく聞く。これからは、「たまにはスポーツしたら!?」という声を受験生にかけるのはどうだろうか。何事も強制ではなく、自主的に「行う」ことがスキルアップにつながるからだ。勉強をするのか。スポーツをするのか。それは子供たちが自分で考えて、取り組めばいい。

【感想】
   世の中の「お受験親」の中には、息子3人を東大に合格させたことで有名になった「お受験佐藤ママ」に触発されて、子どもに猛勉強させている親も多いことと思う。この「お受験佐藤ママ」については、以前このブログでも以下のように取り上げているので、参照して頂ければ幸いである。あの教評論家の尾木ママの考え方と比較しているので、より受験の目的がはっきりするのではないかと思う。
尾木ママとお受験佐藤ママとのバトル 〜両者の目的の違い〜

   さて、所詮人間が持つ集中力からして、全ての時間を勉強にあてることは不可能である。間、間に何か別の活動を入れて取り組まないと集中した質の高い勉強は継続できない。この記事では、その「別の活動」として部活動を取り上げている訳である。記事によれば、部活動をしていない生徒に比べて、平日でも限られた時間の中で集中して取り組んでいるそうである。
   部活動では、自立した社会人として必要な4つの能力や態度を学ぶことができる。(あの過保護に育てられた高畑裕太氏は、それらの能力や態度が不足していたのである。)その4つの能力や態度についても、以下のように、本ブログで過去に取り上げている。
社会的自立のために「学力」よりも大切な4つの能力!「キムタク母流子育て」で育む

   3年生の大会が終わった後、どんな生活になるかは、個々の環境にもよると思うが、大半の生徒は、部活動から卒業して受験勉強に専念するのだろう。問題は、その期間に、集中した質の高い勉強をするために、どんな「別の活動」を勉強の合間に取り入れるかである。
   たいていの子どもの場合は、テレビを見たり漫画を読んだりして気分転換するのだろう。しかし私は、部活ができない期間は、勉強の合間に家の手伝いをいろいろやらせてみてほしいと考えている。部活動をしていた頃は、部活動一色だったはず。そして、部活動が終われば、今度は勉強一色となると、親との愛着(愛の絆)を深める場面がほとんどと言っていいほどなくなる。そのまま大学へ進むと、高校までの生活とは一変した生活が始まる。その時に、誰とも愛の絆で繋がっていない子どもは、不安定型の愛着スタイルを持つ事になり、自分の力で様々な問題を解決することができなくなる。以前投稿したブログで、大学に入っても、親の力に頼って問題を解決してもらっていた大学生を紹介した。
「『過保護』は大学まで押し寄せていた 〜自分の不安を母親に解決してもらう大学生〜
この大学生の場合は、母親から過保護に育てられていたために、母親からのサポートがないと不安になる「不安型」の愛着スタイルをもつ大学生に育ってしまっていたのである。
   家の手伝いは、「過保護」とは反対に自立性を養うことができる。また、手伝ってくれた我が子に「ありがとう」の言葉をかける事で、「親からお礼を言われた」という子どもの喜びや自己肯定感が高まる。更にそのことによって、親子の絆も更に強固なものになり、「安定型」の愛着スタイルの育成に繋がるだろう。「安定型」の愛着スタイルを持った子どもは、大学生活で困った事が起きても、自分で考えて判断したり友達から必要な情報を仕入れながら生活することができる
「勉強しなさい!」が勉強に対する意欲を減退させることは言うまでもない。どうしても勉強しないようなら、「合格になるか、不合格になるかはあなた自身の問題。お母さんたちは何も言わないから、いつからどのように勉強するかは、自分で考えて取り組みなさい。」と自己責任感と自立性を促す声掛けをしてあげてほしい。