【今回の記事】
4人に1人「自殺考えた」 過去1年「自殺未遂53万人」試算

   記事によると、この調査は先月、日本財団がインターネットを通じて全国の20歳以上の男女4万人余りを対象に行われた。それによると、「本気で自殺を考えたことがあるか」という質問に対し、「ある」と回答した人はおよそ4人に1人の25.4%に上った。
   また、過去1年以内に自殺を図り、未遂だった人は20代と30代を中心に、推計で53万5000人に上り、そのほぼ半数が誰にも相談していなかったということである。

   さて、驚いたことは、三つある。一つめは、4人に1人の人が「本気で自殺を考えたことがある」とのこと。二つめは、過去1年以内に自殺を図り、未遂だった人は20代と30代を中心に、推計で53万5000人に上るということ。三つめは、そのほぼ半数が誰にも相談していなかったということである。

   まず一つめについては、その割合の高さである。さらに、「本気で」という断りが、より深刻さを表している。このことは、それだけ今の日本社会がストレスで病んでいるということを表している。
   二つめについては、この一年以内に実際に自殺を図った人が、若者を中心に推計で53万人もいるということに驚いた。自殺意識がかなり身近に潜んでいるということである。さらに、その年代が若者に多いということである。
   三つめについては、実際に自殺を図った人の半数が、誰にも相談していなかったということである。それだけ、精神的に社会から孤立している人が多いということである。

   総じて感じたのは、精神的に社会から孤立している人が、若者を中心に増えているということである。この「精神的に社会から孤立している」ということは、誰とも「愛の絆」で繋がっていない、つまり愛着対象となる人がいないということである。精神科医の岡田氏が指摘する「脱愛着」の社会が若者を中心に確実に広がっているのだ。
   人は、世の中の全ての人と気持ちの繋がりを失ったと感じた時に自らの命を絶とうとするこの状況を解決するには、その人達を「見守る」誰かの存在が必要である。しかし、おそらく職場の中にそういう存在を求めることは不可能だろう。友人や知人にいればよいが、自殺を考える人は、人間関係が希薄な傾向にあるだろうから、望みは薄い。この人間関係が希薄な人達こそが、愛着不全、つまり、「安定型」の愛着スタイルを持っていない人達である。なぜなら、愛着がその人の生活に最も影響を及ぼすのが“人間関係づくり”だからである。
   しかし、本来は、世の中全ての人に、自分を見守ってくれる存在となり得る人がいる。それこそが親である。それを目の当たりにしたのは、最近では、オリンピックの吉田沙保里選手であった。選手団長でありながら金メダルが取れなかった彼女は絶望感に襲われたはずである。その瞬間、彼女は会場にいたある人にとびついて号泣した。その人こそが吉田選手の母親である。そして、その母親も「この子は私の娘です」と愛の絆の存在を確認した。もしも、あの時彼女に母親がいなかったら、吉田選手はどうしていただろう。少々不謹慎かもしれないが、あの時の彼女の狼狽(ろうばい)した様子を見る限り、数日後に自殺を図っていたとしても不思議ではない。
   今の若者には、社会の中には“飛び込める誰か”がいない。だからこそ、人を自殺から救えるのは親しかいないのである。改めて「遠くから見守る」という方針の「キムタク母流子育て」(本ブログ「キムタク母・木村悠方子さん流子育て 〜『自然体で遠くから見守る』〜http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12192919368.htmlの大切さを感じずにはいられない。