未だに「完食調べ」なるものを実施し、食の細い子へのプレッシャーをかけている学校があるようです。それだけでも登校を渋る要因になることもあるのです。
   大人だって、人によって食べる量が違います。みんなと同じだけ食べなければいけないなどという習慣は大人社会にはありません。
   大切なことは、①栄養のバランスを考えて食べること、②自分が食べれる量を自分で理解し食べ物を無駄にしないことだと思います。
   ①については、以前担任した子どもで、サラダは絶対食べないと言い張る子供がいて、「このくらいでいいから食べてごらん」と小指の爪ほどの量を勧めて食べさせたことがあります。すると、その直後その子は食べたものを吐き出してしまいました。そのことをお家の方に話してみると、「家でも絶対に食べません」という話でした。(家庭訪問の時には、食べれないものはない、という確認だったのですが)その子は家では一番偉く、父親に対してさえ普段から暴言を吐く子供でした。大人の言うことを聞かない子だったため、当然自分が嫌いなものは食べなくてよかったのです。家で過保護に育てられると、家の外で困るのですね。食育は子育てと密接に関係しています。
   ②については、今、世界中で余った食べ物が大量に捨てられています。スーパーに買い物に行っても「あれも食べたい」「これも食べたいこれ」とお母さんにおねだりをして色々な食材を買ってもらって、結局、自分が食べ残したものはお父さんに食べてもらうという子どもはいないでしょうか。「余ったらお父さんに食べてもらえばいいや」と思っているのかもしれません。
   給食でも栄養のバランスが崩れない範囲で、自分が食べれる量に自分で調節できるようにならなければなりません。「いただきます」をした後に、調節したい子に前に来させて、自己調整させるのです。「これは苦手だけど、これ以上減らすと栄養のバランスが崩れるな」と自分で考え判断して、自分の食をコントロールできるようでなければなりません。その上で、「自分が盛った分は全部食べよう」とすればいいのです。その後残った給食をもっと食べたい子どもに教師が分けて配ればいいのです。
「キャリア教育」(一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成 23 年1月 31 日))の4つの視点の中に「意思決定能力」というものがあります。給食の場でも子どもの成長に役立つ「キャリア教育」ができるのです。