【今回の記事】
中2女子死亡 学校側「よくあるトラブル」

   記事によると、青森市の浪岡中学校2年の女子生徒(13)が列車にはねられ死亡した事故で、学校側は女子生徒本人や保護者から無料通信アプリLINE(ライン)で悪口を言われた-などと複数回にわたり相談を受けていたが、「子ども同士でよく発生するトラブル」として、いじめと判断していなかったことが新たに分かった、とのこと。
   また、この女子生徒は昨年6月から、担任に対し「ラインで悪口を言われた」などと複数回相談。その後、生徒は学校を休みがちになった。今年6月には父親が「ラインで、事実とは違ううわさを流された」と学校側に相談していたとのこと。
   今年6月の相談内容について、成田教育長は、(1)担任らが書き込みをした生徒を指導し、書き込みをやめさせた(2)7月末の三者面談で生徒が「大丈夫です」と言ったことから、事態が解消されたと認識した-として、学校側はいじめと判断せず、市教委への報告はなかった。
   更に、生徒指導の記録などには、女子生徒からの相談として「廊下ですれ違いざまに『うざい』と言われた」「にらまれている気がする」「無視された」などの内容があったという。

   さて、学校側は、最終的に7月末の3者面談で生徒が「大丈夫です 」と言ったことから、いじめは解消されたと認識したとの事であるが、それ以前に、
①昨年6月から、担任に対し「ラインで悪口を言われた」などと複数回相談。その後、女子生徒は学校を休みがちになった。
②今年6月には父親が「ラインで、事実とは違ううわさを流された」と学校側に相談していた。
③生徒指導の記録などには、女子生徒からの相談として「廊下ですれ違いざまに『うざい』と言われた」「にらまれている気がする」「無視された」などの内容があった。
等のいきさつがあったのである。
   ①〜③の度重なる相談、そしてそのことでその生徒が学校を休みがちになった、これらの事実がありながら、たった一度だけ生徒が「大丈夫です」と発言したことを理由に、「子ども同士でよく発生するトラブル」と判断する学校の姿勢に呆れるばかりである。
   2013年から施行されている「いじめ防止対策推進法」では、いじめとは、「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」と定義され、いじめの様態によらず、被害者側の子どもが“心身の苦痛”を感じるもの全てを指すとされている。その意味で、少なくとも、上記の①と③だけでも、“生徒が心身の苦痛”を感じていると判断できたはずである。それでも、「いじめ」と認定しないことは、いじめに対する基本的な認識が不足していたと言わざるを得ない。
「大丈夫です」と言った生徒がその後に自殺しているのである。「大丈夫」だったはずがない。私は、自殺したその生徒が「大丈夫です」と話したのは、これ以上学校に何を言っても問題は改善されない、という諦めの意思表示だったのではないかと感じる。担任は、その時の生徒の表情、語気をもっと客観的に観察するべきだった。「この件が早く解決してほしい」と願う学校の判断はあまりにも早計で自己中心的であった。