リオデジャネイロオリンピック期間中は、「他者を尊重する」することの大切さを本ブログでたびたび投稿してきた。中でも、「リオ 他国の選手を侮辱する観客や選手たち 〜“相手を敬う心”を育てる教育力の不足〜」(http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12191546405.html)では、「他者を尊重させる気持ちの教育の不足」を指摘した。では、子供に「他者を尊重する気持ち」を教育するためにはどうすればいいだろうか?今回はその点について私なりの考え方を述べてみたいと思う。

   そのために、冒頭から堅い話になって恐縮であるが、アメリカの心理学者A.マズローが提唱した「5段階欲求説」から紹介しなければならない。    
   彼は、人間には満たされなければいけない欲求が5段階に構造をなしているとした。人間の欲求が5種類に分けられる、ということを提唱しただけでも意義があるが、マズローは更に、その5種類の欲求には、満たされる際の優先順位があり、その優先度の高い順に各欲求の種類を述べている。
①生理的な欲求(寝たい、食べたい、排泄したい等)
②安全性の欲求(戦争、DV、いじめなどが無い安全な環境の中で生活したい)
③所属・愛情の欲求(誰かと愛の絆で繋がっていたい)=“愛着形成”欲求
④承認・尊重の欲求(他者から認められたい、他者から大切に思われたい)
⑤自己実現の欲求(自分らしく生きたい)
   これらの欲求の中で、いずれかの欲求が満たされない場合に、人間はストレスを感じ問題行動を起こす場合が多い。
   そのため私は、この5段階欲求説を子供の問題行動の原因を探るための観点として利用している。つまり、子供に何らかの問題行動が発生した場合、優先順位の高い欲求から順に、その欲求が満たされているかどうかをチェックするのである。例えば、以前学校での様子が落ち着かない子供がいたが、まず優先度の1番高い「生理的欲求」から調べてみた。すると、いきなりヒット!食事がカップラーメンで、しかも、その子のお兄ちゃんが麺と具を食べた後の残ったスープだけをその子が飲んでいたということが分かった。こんなこんな朝食では、次の「『安全性の欲求』を満たしたい(安全な環境の中で生活したい)」どころではない、どんな環境であろうが、栄養が不足すれば死活問題となるのだ。

   さて、この5つの中に「承認・尊重の欲求」という欲求がある。この欲求が、「他者を尊重する気持ちを育てる」ことと関わってくるのであるが、そのことについては次回でお話ししたいと思う。(本論に入れなくて申し訳ありませんでした。)