さて、前回の続きです。子供達は自分が楽しかったことや頑張ったこと等については、自分から親に話しますが、少しでも自分に非があるようなことは話しません。だからこそ、親の方から気づくことが難しいのです。ですから、私にコメントをくださったご夫婦の「気づけないかもしれない」という判断は賢明です。楽観視は危険なのです。
   ということになると、わが子がいじめの加害者であるかどうかを確かめるには、親の方から聞くしかありません。しかしその際、親が険しい表情をしていては、子供も警戒して正直に話さなくなる恐れがあります。いわゆる「事実確認」をする際にいつも気をつけたいことは、子供が話しやすい穏やかな環境をつくることです。その後でこう話を切り出します。今からお父さん(おかあさん)は、あなたが話すことを絶対叱らないから、正直に話してくれる?
   その後、やはり冷静な話し方で「あなたは今までに友達をいじめたことがありますか?」と聞きます。もしも、「いじめをしたことがある」と答えた場合は、「よく正直に話してくれたね」と褒めてあげてください。「自分が正直に話したことをお父さん(お母さん)は認めてくれた」と感じ、その後の質問にも正直に話してくれるようになりますし、「正直に話すことはいいことだ」と認識するようになり、その後の生活にも生きてきます。
   さて、その後は、「誰に、どんなことをしたのか」まで詳しく聞きます。一つ話しても「あとはなかった?」と繰り返し聞きます。子どもが話したことについては、以前投稿した「理由のあるいじめ」「理由のない理不尽ないじめ」のいずれの場合でも、約束通り、叱ってはいけません。ただし、「理由のない理不尽ないじめ」の場合は、本ブログのhttp://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12193361935.htmlで述べた「出席停止」「警察」「自殺」のことを、これ以上ないくらい真剣な表情で諭しましょう。「理由のあるいじめ」の場合は、子供の言い分をしっかり聞いたうえで親子で話し合いましょう。また、いじめの内容によっては、先方の親御さんに電話でいいので、お父さんかお母さんができるだけ早く謝罪の一報を入れましょう。合わせて担任の先生にも電話で一報を入れましょう。
   さて、もしも「いじめをしたことがない」と答えたら、「では、ちょっとした意地悪をしたり、からかったりしたことはありますか?」と聞きます。ここで大抵の子供は「ある」と答えると思います。「ある」と正直に言ったときには、やはり褒めてあげてください。その後「誰に、どんなことをしたのか」と更に具体的に聞きます。ここでも、一つ話しても「あとはなかった?」と繰り返し聞きます。
 子供が全て話し終わったところで、「いじめ」とはどんな行為のことを言うのか(いじめの定義)について教えます。「今の法律では、あなたが冗談半分でも、ふざけただけでも、相手の友達が嫌な気持になっていたら、それは立派な『いじめ』と言うそうです。(子どもが「意地悪や悪口をした」という場合は、「だから、あなたが○○さんにしたことは、立派な『いじめ』になるのです」と教える)」※最後まで「何もしたことがない」という返事が返ってきた時にも、この“いじめの定義”は教えてください。以後の抑止力になります。
   最後に、「今日はよく正直に話してくれたね。でも、どういうことが『いじめ』になるのか分かったでしょう。これからは、友達が嫌がることをしたり言ったりしてはいけないよ。今度いじめをした時には、厳しく叱るからね。と約束します。