【今回の記事】
【400mリレー男子決勝】日本銀メダル!アメリカの失格理由は?【リオ五輪】
【陸上】ボルトが日本のリレー合宿に驚き賛辞「彼らには脱帽だよ」…男子400Mリレー
日本男子リレーチームが、歴史的な銀メダルを獲得した。
記事によると、試合後のインタビューの中で、ウサインボルトは、銀の日本チームが3月からリレーの合宿を重ねてきた成果が実った話を聞くと、驚いた様子で「われわれと比べて練習量が断然に豊富だ」と苦笑い。「彼らに脱帽だよ。チームとして銀メダルを勝ち取った」と賛辞を惜しまなかったとのこと。
さて、今回は、ある比較をしてみたい。それは、男子400mリレーに出場した、ジャマイカ、アメリカ、日本、各チームの選手一人ひとりの自己ベストタイムの比較である。
各チームの選手の個人の自己ベストタイムは以下の通りである。
ジャマイカ
- アサファ・パウエル 9.72
- ヨハン・ブレーク 9.75
- ニケル・アシュミード 9.90
- ウサイン・ボルト 9.58
アメリカ
- マイク・ロジャース 9.85
- ジャスティン・ガトリン 9.74
- タイソン・ゲイ 9.69
- トレイボン・ブロメル 9.84
日本
- 山県亮太 10.05
- 飯塚翔太 10.22
- 桐生祥秀 10.01
- ケンブリッジ飛鳥 10.10
ご覧のように、ジャマイカとアメリカは全員が9秒台であるのに対し、日本は9秒台の選手は1人もいないのである。
さて、これらから各チームの4人のタイムを合計すると以下のようになる。
1. ジャマイカ. 38.95
2. アメリカ. 39.12
3. 日本. 40.38
10秒で100m進む( 1秒で10m進む)と考えると、アメリカとの差は1.26秒なので、全く同じ条件で走ったとすれば、日本はアメリカに12.6mの差をつけられる計算になる。
しかし結果的には、ゴールしたときにアメリカは日本よりわずかに後ろだったことに加え、バトンパスの違反も起こしている。つまり、日本はなんと、12.6m以上の差をバトンパスの技術で埋めた計算になる。 優勝したジャマイカと比べても、ボルトにわたるまでは、互角以上の勝負をしていた。(そのことは上の写真からも明らかである)つまり、日本のバトンパスは世界一だということがこのデータからも証明された。
しかし日本が行ったバトンパスは、「アンダーハンドパス」と言う方法のバトンパスで、他の国の「オーバーハンドパス」と違い、 加速はしやすいが、バトンを落とすリスクが高いものだった。しかも今回は、バトンパスの際の選手間の距離を伸ばす「“改良アンダーハンドパス”」に挑戦してきた。しかし彼らは、3月からの繰り返しの練習により、本番で見事にそのバトンパスを成功させた。
「走りで勝てないのなら、その分をたとえリスクが高くとも、練習を重ねることによって、バトンパスで埋める」、この、ボルトさえ驚く“侍魂”で、「“改良アンダーハンドパス”」を完成させたのだ!これぞ日本人の知恵と工夫と努力とチームワークによる勝利である。