【今回の記事】
緑色のプール、ついに謎が解ける「え、そんな理由?」【リオオリンピック】



   8月9日に突然緑に変色し、アスリートから「おならのような匂いがする」と表現された、リオオリンピックのプール。始めは飛び込みプールだけだったが、その後、競技用プールまで緑に変色してしまった。
「日焼けクリームによる化学変化説」から、「プール内での放尿説」まで、様々な仮説がインターネットを賑わした。しかし、答えは意外な手違いだった。

   記事によると、ニューヨークタイムズ紙が「8月13日、誰かが誤って水に160リットルもの過酸化水素を加えてしまったことが原因だ」と伝えた。プールには元々塩素が入っていたが、誤って過酸化水素をいれたことで、藻のような有機化合物が繁殖してしまったと考えられる。
   13日、関係者たちは競技用のプールから水を抜き、そこに練習用のプールの水を入れるという、大掛かりな作業を行った。オリンピックの広報担当マリオ・アンドラダ氏が、水を入れ替えた理由を「長い時間、水中で費やすシンクロナイズドスイミングのために、きれいな水を確保する必要があった」と語った。

プールから水を抜く様子(WERMUTH )

しかし、飛び込みプールはその他の競技には使われないため、水を抜かなかった。緑色のまま、飛び込み競技のために引き続き使われる予定だったという。 

   私は、この記事を読んで、開催市側の「全世界からお客様をお招きする」という意識の低さを感じた。「誰かが誤って水に160リットルもの過酸化水素を加えてしまったことが原因」というあまりにも不明確な回答。世界に対して、「誰か」という、原因を明確にしようとしない曖昧な意識が、オリンピックの開催市として明らかにふさわしくないと感じた。

   さらに、「シンクロナイズドスイミングは、競技で長い時間水中にいるために、水の入れ替えをしたが、飛び込みプールはそのままにした」、つまり、飛び込み選手は水の中にいる時間が短いため、不衛生な水でも構わないだろうという、選手を大切にしない意識が問題である。

    つまり、開催地側が「“大切なお客様”を迎えるための準備を念入りに行う」という意識をしっかりと持つことが大切なのである。そうすることで、選手たちが安心して自分の競技に集中できる環境が整うのだ。

   私も、例えば授業参観などでお客様が教室の中にいらっしゃるようなときには、1時間目の初めに子供たちに「今日は大切なお客様がいらっしゃいます。自分で気がついたところをきれいに直しましょう。」と言ってわずか5分間ではあるが、時間を与え自分たちの手で直させている。それも、キャリア教育の一つだと思っている。