【今回の記事】
銅メダル錦織12分間の「トイレ作戦」でナダル撃破 糸井重里「巌流島の宮本武蔵のようだった」

   テニス個人戦3位決定戦で錦織選手はナダル選手と対戦した。
   ゲームは互いに1セットずつとり、残りは第3セットの結果に持ち越されることになった。しかしその時に錦織の方からトイレブレークの申請があった。トイレブレークは競技規則に認められているルールで、3セットマッチシングルでは試合中に一回取ることができるとのこと。
   ナダルはトイレからすぐに戻ってきたが、錦織の方がなかなか戻ってこない。ようやく戻ってきたときには、いつの間にか12分間も経っていた。第二セットの終盤で見事な逆転劇を演じ調子に乗っていたナダルであったが、思いもよらぬ長いトイレブレークのために精神的ペースを崩され、その後ナダルは第3セットを奪われ負けてしまった。(ちなみに、ナダルは「ミスタールーティーン」と呼ばれるほど、いつもと同じ流れを過度に維持したがるタイプだそうである。)
   ナダルの苛立ちを募らせたこのトイレブレークに、剣豪・宮本武蔵が佐々木小次郎との巌流島決闘で、わざと約2時間遅れて到着したとされる逸話と重ねる声がツイッター上では続出したそうであるが、その真相については明らかになっていないとのことだった。
   しかし、某テレビ番組に出演した元プロテニスプレーヤーの沢松奈生子さんによると、「ナダルが係の人に案内されたトイレよりも、錦織が案内されたトイレの方がずっと遠くだったため、たまたま時間がかかってしまった」ということだった。そのため錦織はトイレから戻ってきた時に、なぜナダルがあんなに怒っているのか、なぜ観客からブーイングが出ているのか分からなかったそうである。つまり、巷で噂になっている「宮本武蔵作戦」というのは錦織選手による意図的なものではなかったということである。
   しかし沢松さんは、「トイレから戻ってきたときの会場の大ブーイングの中、気持ちをしっかり持ち冷静に第3ゲームに臨んだところが錦織の凄さ」と錦織を賞賛していた。
   結果的に見れば、偶然ではあるが錦織選手を案内してくれた係の方がそのトイレに案内してくれたことが、勝因の一つになったと見ることもできる。自分の健康を守るために欠場した選手も多くいた中、自ら進んで出場したうえに、ナダルの地元であるスペイン紙までが過去14度のグランドスラム制覇を成し遂げた勝者に対して、素晴らしい強さを証明した」と讃えた錦織に、オリンピックの神様が味方してくれたのかもしれない。