【今回の記事】
池江「メダル取れなかったけど…」 日本新更新には満足

   競泳・女子100メートルバタフライ決勝、池江璃花子は、メダルには届かず6位だった。
   しかし、池江のコメントは次のようである。「56秒台が目標だった。メダルは取れなかったけど、自己ベストを更新できてうれしい」

   一方、柔道ではこんな言葉がささやかれていた。「金メダル以外はメダルではない」。ゆえに、今回初めてオリンピックに出場し、銅メダルを取ったある女子選手が、「金メダルを取れなかったのがとても悔しい」という感想を漏らしていた。

   この柔道女子選手の考え方は、他の国の選手に負けたくないという、他者との戦いである。しかし、オリンピックという自分よりもレベルの高い選手との競技の中では、国内大会では感じられない“焦り”と“力み”が生じてしまう。
   一方、池江の考え方は、自分のベストの記録を破ろうという、いわゆる自分との戦いである。この考え方では、他の国の選手に対するこだわりは薄れ、自分との戦いに集中することができる。

   私は個人的には、両選手とも初めてのオリンピックであったにもかかわらず、すばらしい成果を収めることができたと感心するばかりである。しかし、自分に対する評価の考え方次第で、全く逆の感想が生まれたのである。
   正直に言えば、如何に選手を鼓舞するためとは言え、今回の日本柔道連盟の「金メダル以外はメダルではない」という考え方には賛成できない。なぜならば、たった1人しか取れない金メダルだけを求めることは、選手たちに不安と焦りと力みを作るだけだからである。

   オリンピックはまだまだ続く。選手たちには、今までの自分の中で最高の演技をするということを目標に自分らしい演技ができるように頑張って欲しい。