【今回の記事】

お金よりも休みがほしい 部活動手当増額の問題点(http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20160731-00060571/

「時間外手当を出すから休日の指導をして欲しい」文科省のこの考えは明らかに現場の実態をわかっていない。特に中学校の先生は、教科指導のほかに、放課後の教材研究、様々な会議、生徒指導、放課後や休日の部活指導など息をつく暇もないほど忙しいのである。たとえ4時間以上の時間外指導手当が3,000円から3,600円になろうとも、たとえ1万円になろうとも、とにかく体を休めたい、なによりも健康が第一なのである。
   改めるべきは、時間外手当の金額ではなく、指導体制である。例えば休日の部活動については、親たちが休日練習を希望するのであれば、親が当番制で子供の練習の様子を見守り、練習自体は子供たちによる自主練習とすべきだと思う。実は、この自主練習には大切な意味が含まれている。普段は監督やコーチから一方的に指導を受けるばかりの子供たちであるが、休日には自分たちで、何が今の問題であるのか、その問題の解決のためにどうすれば良いのか、そしてその考えに基づく練習を行う、自分たちで修正・内省する、という意思決定能力問題解決能力の育成を行うことができる。実は、指導者からの一方的なアドバイスによる練習よりも、子供たちの将来のことを考えれば、このような能力の育成の方が大切なのである。なぜならば、子供たちが将来社会人になった時に必要とされるのは、部活動で養った技術ではなく、上記の意思決定能力や問題解決能力であるからだ。
   文科省の考え方は、教員指導者による休日練習を肯定する、いわば大会での結果至上主義に基づく考え方であると言わざるを得ない。今一度、文科省の「我が国の文教施策」(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad199801/)の中(第3章、第2節、3)で述べられている「自発的・自主的活動として、児童生徒のバランスの取れた生活や成長に支障を来すことのないよう展開されるべきである」という方針に基づき、今後の施策の見直しを行って欲しい。