平成24年の文科省の調査によって、全国の小学校、中学校の“通常”学級には、発達障害と思われる子どもは⒍5%の割合でいる事が明らかになっている。発達障害とは主に次の3つである。
①注意欠陥多動性障害(ADHD)
②自閉症スペクトラム障害(ASD)
③学習障害(LD)

   私たち大人が子どもの頃は、発達障害という考え方さえなかった。だから、子どもの頃に自分が発達障害であると考える人は誰もいなかった。では私たち大人には発達障害の人はいないのだろうか。この答えについては、既に有名になりつつある。テレビで「大人の発達障害」という内容で特集が組まれた番組が時々放送されるようになったからである。
   では大人の発達障害の人は、どの位の割合で存在するのだろうか。残念ながら私の知る限りでは、この疑問に答える調査結果はない。しかし、これは“障害”であるから、先天性のものであり、環境によるものではない。であるから、現代の環境と昔の環境の違いからは影響を受けることはない。つまり現代とほぼ同程度の割合で存在しているはずである。つまり、20人の部署であれば1人は必ず発達障害の人がいるということである。この事は「障害」「先天性(生まれつき)」という言葉の意味を考えれば誰でも推測できるはずである。
   今は障害者雇用促進法によって、各企業の労働者数に応じて何人の障害者を受け入れるかという“法定雇用率”が決められているが、問題は、企業の管理職や上司が、通常の労働者の中にも発達障害の人がいるという事をどれ程認識しているかということである。周りの人たち比べて少し変わっている“あの人”は、“困った人”ではなく“困っている障害者”なのである。この事についての理解がもっと進めば、仕事によるうつ病の発症者や自殺者の数もかなり減るはずである。