「インタープリテーション」
ECOPでは高速口頭英作文をじっくり学べますが、ECOPの習得を待っていては、英語ペラペラを目指すにあたり、とりあえず必要なことが話せるようになりません。
そこで応急処置的に、まだECOPで習得していないことでも、とにかく何か喋って通じさせる、少々間違ってもいいから、自分なりに工夫して通じさせる練習(インタープリテーション)が課せられます。
「インタープリテーション」という名の由来は、練習がまるで通訳(インタープリテーション)のようだからです。
通訳というと何やら難しいように思えますが、初心者(入門者よりも上)でも通訳メモの取り方を教わり、この練習を行います。
まず、教師が中学レベルの和文で書かれたエッセイ(小説)を読み上げます。
生徒はそれを通訳メモ(初心者は日本語、中級以上は英語)にて書き留めます。
通訳メモは、和文の文体を記録することを目的とせず、とにかくどんな形でもいいから内容を記録することを目指します。
そのメモを見ながら、その場で口頭英訳を行っていくのですが、
教師が読み上げるそのエッセイたるや、(わざと)非常に分かり難く、掴みどころのない、英訳するにあたり一体何を主語にすればよいのか、どのような英文構成にすればよいのか、ほとほと悩んでしまう代物なのです。
これは生徒に、和文→英文の直訳はできない、訳すのではなく、和文の内容を理解し、それを自分の言葉、自分の文体で英文に作り替える、という練習を課すために、計算づくで仕組まれたものなのです。
仮に通訳メモを取らず、そのまま和文を見ながら英訳を行えば、まさに、何を主語にすればよいのか、どのような英文構成にすればよいのか、と悩んでしまい、英文が全く口から出てきません。
しかし、その場で素早く書き留めなければならない通訳メモでは、全てを書き留めることはできませんから、主にキーワードをメモすることになり、文体よりもまず内容を再現できるよう工夫して書き留めることになります。
それを見ながら、まさに、直訳ではなく、和文の内容を理解し、自分の言葉、自分の文体にて英文に作り替えることができるのです。
もちろん、アドリブの口頭英訳ですから、さまざまな面で不完全です。しかし、ここでは、とりあえず通じれば良しとします。
それを今度は宿題として持ち帰り、辞書や参考書を参照しながら、自分なりに完全と思える英文に作り改めながら練習し、口からスラスラ出るよう万全を尽くして次回の授業に臨みます。
最終的には模範解答とも言える英訳文をもらい、それを何度も音読して自分のものにしていきます。
拙い文章で、なかなかうまく書けませんでしたが、それなりにイメージしていただければ幸いです。
要点は、
そもそも和文→英文の直訳はできない、訳すのではなく、和文の内容を理解し、それを自分の言葉、自分の文体で英文に作り替えることの大切さを学び、
難解な和文でも自由自在に口頭英訳できるよう練習することで、英語ペラペラを目指す。
付記1
通訳メモは通訳を目指す人だけではなく、頭で整理しきれない高尚な内容の英語を話すとき、まずはメモとして書き出してみるのに便利。
クラスメートが社内の会議で大いに役立った、と。
私自身、当時はそのような立派な仕事はしていませんでした(英語を用いて転職希望)が、通訳メモはボランティア通訳で必須でした。また、もともと国語力のなかった私は、通訳メモの練習によって、自分の言葉で伝える能力、また、それに必要な論理的思考が身についた(改善された)と思います。
付記2
上のクラスでは「インタープリテーション」の和文に朝日新聞の天声人語を用いています。
先輩方があの難解な文章をアドリブで口頭英訳する雄姿をDVDで拝見しましたが、とにかく度肝を抜かれたこと、また、頑張ればいずれ自分もこのようになれるのだと、夢が膨らんだことを、まざまざと覚えています。