だけど
 
どうしても行きたかった。
 
 
 
ハルオさんと出会ってから
 
微妙に自由がなくなってしまった気がして。
 
 
 
行きたい、と思った場所に
 
ハルオさんと一緒に行けばそれがいちばん良いことだとは
 
思っている。
 
しかし、ハルオさんは慎重な男だから
 
言い換えれば面倒な男だから
 
出かける、となれば
 
やれ、天気はどうのこうの
 
やれ、宿はどうのこうの
 
やれ、休みがどうのこうの
 
とパーフェクトを目指すものだから
 
なかなか出かけられない。
 
 
なかなか出かけられない人を待って出かけないでいるのは
 
人生、時間が勿体無い。
 
 
 
たぶん
 
今回、私が帰路に立ち寄った場所も
 
ハルオさんと一緒だとしたら却下された。
 
 
 
別の日に泊まりがけで来ればいいじゃないですか。
 
 
 
そう言われれば私はその言葉に従ってしまい
 
いつ来るか分からない次の機会を待つようになる。
 
その機会は永遠に来ないかもしれないのに。
 
 
 
 
前置きが長くなった。
 
 
 
 
今回の旅で、どうしても行きたかった場所に行って来た。
 
毎日毎日、天気予報とにらめっこをしていた。
 
紅葉シーズンの今は、大変混み合うらしい。
 
だから、週末に行くのは避けたかった。
 
なぜなら
 
人が嫌いだからである。
 
なぜ、嫌いなのか。
 
人が寛容じゃないから。
 
日本人全員がまるで自警団のようだから。
 
先だってのポテサラ論争だって
 
非寛容なじいさんの発言を
 
非寛容な投稿者が投稿したことに
 
非寛容な十数万人が噛み付いたわけで
 
そもそも爺さんが非寛容なんだけれど
 
たかだか、頑固爺いが発した言葉くらい許してやればいいのに
 
許せない非寛容な人間が噛み付いた。
 
 
あの程度のことにまで大騒ぎをする
 
非寛容な人間の多さに、息切れがする。
 
 
 
 
 
また、話が逸れた。
 
 
 
 
話を元に戻すと
 
週末に行くのは避けたかったし
 
天気予報では曇りだったから
 
どうにかなる、と判断して
 
那須塩原からの帰路に立ち寄ったのは
 
福島県の磐梯吾妻スカイライン頂上にある
 
浄土平ビジターセンターである。
 
 
 
 
残念だが、曇りではなく雨だったが
 
人は大変少なかった。
 
狙い通りである。
 
 
 
 
ちなみに
 
関東以西の人には位置関係が分かりづらいと思うが
 
福島県は那須塩原のある栃木県よりも北ね。
 
帰路だっちゅーに
 
南下しないで北上する物好きはだーれだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
浄土平ビジターセンターに行ったのは
 
もちろん
 
吾妻小富士に登るため。
 
 
 
 
ほら
 
だれもいないから。
 
(あたりまえだ)
 
 
 
 
準備万端
 
登りまーす!

 

 

 

 

 

 

 
 
 
中腹から見た駐車場。
 
まったく人がいないわけではない。
 
登山道でも十数人とすれ違った。
 
 
 
 
 
 

 

 

 
山頂から見た火口。
 
霧に煙っているけれどなんとか見える。
 
実際には写真よりもはっきり見えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
火口の周りは40分程度で一周できるらしい。
 
 
この時点で
 
火口回りをしている人はいない。
 
当たり前だ。
 
雨が降っている。
 
正直、ビビる。
 
登山道口のちょうど正面が最高地点らしいが
 
けっこうな高低差がある。
 
全体は、なだらかな道だから難なく一周できると思われたが
 
霧が濃いため歩き始めるのを迷っていたら
 
若い男性が2人、歩き始めた。
 
 
 
 
その2人の背中を追って
 
私も歩き始めたが、あっと言う間に
 
姿が見えなくなった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
石とか岩とか
 
こんな景色が好きだから
 
少々怖かったし
 
雨が顔を容赦無く濡らしてくれたし
 
この世で私はたった1人、な気分になったけれど
 
それはそれで
 
とても良かった。
 
 
 
 
晴れた日に
 
知らない人たちの不寛容な目に晒されて
 
犬を連れて歩くよりも
 
とても良かった。
 
 
 
 
 
自意識過剰ですみません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晴れていたら、見事な紅葉が見えたことだろう。
 
 
 
けれど、安心してください。
 
 
 
スカイラインからは見事な紅葉を見ることができた。
 
吾妻スカイラインの紅葉は
 
過去に見たどの紅葉よりも美しかった。
 
それを知らずに行きてきた60年という年月を
 
私は、なんとも無駄にして生きてしまった
 
とそんな気持ちにさせられるほど
 
美しかった。
 
 
 
 
 
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上の写真は
 
吾妻小富士火口内の紅葉。
 
 
 
スカイライン中腹の紅葉はこんなもんじゃなかった。
 
大げさかもしれないけれど
 
人生で初めて見た、と思うほどの見事な景色だった。
 
 
 
 
 
紅葉の投稿はこの後に。