ため息が出る。
 
 
 
つくづく、ハルオさんっていう男は
 
贅沢が出来ない男なのだ。
 
商売をしていた両親の元で、質素に育てられた人なのだ。
 
 
 
摘んで捨てたい。
 
 
 
 
いやいや
 
私だって、準公務員(国鉄職員)の家庭に育ったから
 
贅沢に育ったわけじゃないけれど
 
ここぞ、というシーンでは贅沢をする。
 
 
 
明日、食べるお米に困っても
 
お姫様な体験をしたい。
 
 
 
ホテルライフ大好き。
 
南の島のリゾートライフ大好き。
 
ラグジュアリーなホテル大好きっす。
 
 
 
 
なんのことかって、言うと
 
今回の伊豆の旅の宿泊先ね。
 
 
 
私たちは年金世代目前だから(まだ受給してはおりません)
 
贅沢は出来ない。
 
だから昨年の暮れの、ハルオさんとの2度目の旅行の際は
 
お安いお宿に決めた。
 
ちなみに1泊2食で1万2千円ね。
 
 
 
それがね、酷かったの。
 
もう2度と泊まりたくないなあ、って。
 
 
 
 
私は提案した。
 
 
 
旅と言うものは日常から逃れるためのもので
 
そこで「現実」は見たくはないの。
 
もちろん桁外れの贅沢は出来ないけれど
 
出来る範囲で、旅に出ている間だけでも
 
素敵な空間に身を置きたい。
 
ある程度以上の予算で宿泊先を決めれば
 
施設もサービスも宿泊客もクオリティが違うのだから
 
普段は質素にしていても、旅に出たときくらい贅沢をしませんか。
 
あと何年、生きられるのかわからないのだし。
 
無理は出来ない、というのなら
 
無理のない範囲で貯金をしましょう。
 
その為に、毎月、積み立てをしませんか。
 
 
 
 
 
 
ハルオさんは、この提案に頷いてくれて
 
以来、2人で1万円ずつを出し合って
 
月々2万円の旅貯金を始めた。
 
 
 
 
 
 
夏の蓼科の東急リゾートでの宿泊は
 
この旅貯金から捻出したもの。
 
そして今回は、夏の旅の繰越し金とその後の貯金とで
 
13万円の予算があった。
 
 
 
 
なのになー。
 
 
 
 
「ビューカードでこんな格安プランがありましたよ」
 
 
 
 
嬉しそうな顔をして私にチラシを見せるハルオさんから
 
チラシを受け取って内容を見ると、確かに安いが
 
施設もお料理も安っぽい。
 
 
 
 
ちっ!
 
そんなチラシを見つけて来んな。
 
とは、言わないけど。
 
その代わりに言ったわ、マシンガントークで。
 
 
 
 
 
 
 
いやいや
 
せっかく「旅貯金」をしているんだからさあ
 
もっといいお宿に泊まりましょうよ。
 
なんのための積み立てなの?
 
旅行の時くらい、贅沢をするための貯金でしょう?
 
その為に、コツコツ貯めているんでしょう?
 
あと何年、生きられるかわからないんだし
 
安宿に泊まって不愉快な思いはしたくないでしょう?
 
予算はあるんだから。
 
持ち出しをしなくてもいいお金があるんだから。
 
パーっと使ってもいいんじゃない?
 
余ったからって、生活費には回さないお金なんだからっ!
 
 
 
 
 
 
「自分はあまり贅沢をしたくないんです」
 
 
 
 
 
あー、もうもうもうもう。
 
うっぜーーーーーーーー。
 
 
 
 
 
「アタシは、一休の宿に泊まりたいんだってば」
 
「一級ってなんですか?」
 
 
 
 
 
 
一休も知らんのか、このジーさんは。
 
 
 
 
 
 
ってな訳で行って来ました。
 
 
お宿の名前は、リゾートの名誉の為に書きませんが
 
上の写真から推測してくださいね。
 
 
 

 

 
リゾートの雰囲気は悪くはない。
 
 
けれど、良くもない。
 
 
 

 

 

 
泊まったのはコテージのドッグルーム。
 
 
 
どのコテージにも、駐車場は無く
 
車はコテージ側の路上に駐車、となる。
 
 
 
 

 

 

 

 

 
コテージの外観は天窓も見えて可愛らしいが
 
所詮は、外壁はサイディングである。
 
 
これじゃあ、一般の住宅に泊まっているのと何ら変わらない。
 
 
 
電鉄系のホテルのコテージだと
 
これがログハウスになる。
 
 
 
悪くはないんだけど
 
サイディングとログハウスとではねえ比べようもなく
 
リゾートに来たのに、テンションが下がる。
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 
 
悪くないんだけど、こうして見ると
 
普通の住宅街みたい。
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 
室内も天井が高くて梁の見える造りで悪くないんだけど
 
ベッドカバーが薄い撥水の布で、気分が下がる。
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 
 
リビングとキッチンと寝室がワンルームだし。
 
 
デラックスコテージもあったんだけど
 
ハルオさんは「スタンダードなお部屋でいい」って言うし
 
まあ、私もこのお宿でデラックスルームに泊まっても
 
仕方ないかなあ、と思ったし。
 
 
 

 

 

 
天井は高くて気分がいいけどね。
 
 
 
 

 

 

 
和室も有りだったんだけど
 
小上がりの造りになっていなくてリビングとは全くの別室で
 
荷物おきにしか使えない。
 
 
 
 
コテージの内装は雰囲気よく造ってはいるけれど
 
至って普通。
 
当たり前の話だけれど
 
プリンスコテージや東急リゾートのそれと比べれば
 
安っぽいし
 
南国リゾートのコテージと比べても、もちろん安っぽいし
 
オシャレじゃないし。
 
 
 
 
ドッグコテージの割には、お掃除が行き届いていて清潔なんだけど
 
でも「非日常」の気分は味わえない。
 
節約モードしか味わえないのよ、これじゃ。
 
 
 
ああ
 
何のための、旅貯金なのかな。
 
 
 
 

 

 

 

 

 
夕食も、お値段(3,850円)の割には
 
悪くないんです。
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

量もたっぷりある。
 
 
ただし、食事の前に全部テーブルに並べてあるから
 
お料理が冷めてしまっている。
 
 
これが、もっとクオリティの高いお宿だったら
 
一品一品、食べ終わったタイミングで運ばれて来て
 
例えば、天麩羅なら熱々のものが食べられる。
 
鯵のお造りでは、ピクピクした新鮮な鯵が運ばれて来るし
 
デザートがババロアなら、冷えた食器に冷たいままで出て来るし。
 
 
 
だから
 
全部並べてあるのは
 
人件費の節約で
 
だからお安いお宿なんだけど。
 
 
 
 
そもそも
 
レストランの雰囲気
 
テーブルに椅子
 
テーブルクロス
 
 
 
そりゃあ、比べますよ、
 
ホテルではなくて、ペンション並なんですもん。
 
 
 
 
 
お風呂も清潔で、悪くはない。
 
 
 
だけど
 
2泊したのに、換えのタオルがない。
 
 
 
 
 
 
 
もちろん、2泊分の歯ブラシもないし
 
アメニティーもない。
 
室内のお茶はティーバッグが2つだけ。
 
ティッシュは使いかけのが置いてあるだけ。
 
 
毛布はなくて薄い布団が1枚だけ。
 
 
エアコン暖房を消せば寒くて寝られず
 
点ければ乾燥で寝られず。
 
なのに加湿器がない。
 
 
 
 
悪くはないんです。
 
お値段なり
 
と言うか
 
お値段の割には良いのです。
 
 
 
このお値段で、このお部屋には泊まれない。
 
このお値段で、この料理は出ない。
 
 
朝食のビュッフェも和洋ちゃんと出て悪くなかった。
 
 
 
 
image
 
 
だけどね
 
 
せっかく貯金をしたのなら
 
納得のいく宿泊先を選びたい。
 
 
 
私がここに書いた「文句」はハルオさんも同感だった。
 
 
 
「だからね、宿はせめて1人1泊2万円以上出さなきゃ」
 
「そうかもしれないね」
 
「次の旅行は、私が一休から探すから文句を言わないでね」
 
「わかりました」
 
 
 
ホントは2万円ではそんなにクオリティーは高くはないけど。
東急リゾートは1人が3万円近くしたけれど、それは内緒。
 
 
 
非現実を味わいたい、という価値観を
 
贅沢だと感じる人の理解を得ることは
 
本当に大変だ。
 
 
 
毎月毎月コツコツと貯金をして
 
年に1度や2度の旅に、お金を使うことは
 
贅沢だとは思わないんだけどな。
 
 
 
来年には、もしや
 
そんな贅沢は出来なくなるかもしれないんだし
 
 
あの時
 
やってて良かった
 
泊まってて良かった、と思うはずなんだけど。
 
 
まあ
 
大見得を切る人や、無駄遣いをする人よりも
 
ハルオさんはマシだとは思うけれど
 
ホテルライフやレストランを楽しめる人だったら
 
もっと良かったな。
 
 
(でも、だいぶ前進はしてます)
 
 
 
 
 
 
 
宿泊費の内訳は書くのが面倒だから写真で。
 
 
2泊3食(夕食は1食だけ)とワンコ2匹の宿泊で
 
3万9,490円。
 
各種入園料、高速代、ガソリン代、食事代、お土産
 
旅貯金から色々使って結局、4万円を残しました。
 
 
 
 
これをどう受け取るかは
 
読む方の、経済力と価値観次第。