では次に入ることを決意したとして,次の問題は学生納付特例で免除された期間をどうするか?です.
ちなみに「免除」と「未納」の差は非常に大きく申請して免除にしておけばその期間は加入していることになるので受給資格にある「加入25年以上」の部分にカウントされることになります.未納だと当然カウントなし.また,未納だと障害年金や遺族年金も出ません.申請せずに未納扱いになり,その期間に障害を負ってしまったりすると最悪です.申請はノーリスクでリターンがあるので必ずしましょう.
ここから問題になるのは免除された期間をさかのぼって保険料を支払うかどうか?です.
注意すべき点としては
* 学生納付特例で免除された期間を10年間はさかのぼって追納することが可能
(ただ単に払っていない場合は2年間しかさかのぼって追納することはできないので注意.2年過ぎると二度と払えなくなります.)
* 2年以上さかのぼって追納する場合は保険金に加算額が加わる(延滞利息のようなもの)
* 追納すると65才からもらえる老齢基礎年金が満額もらえる.追納しようがしまいが,障害年金,遺族年金には変化なし.
非常に大雑把に計算すると支払った期間に比例した額が受け取れるようになっています.支払い義務期間が40年(480ヶ月)なので
(満額の年金受給額) × (480-免除を受けた月数) ÷ 480
が受給金額になります.
制度自体が変わる可能性が高いので比較が難しいのですが,とりあえず現行制度での差がどうなるかを見てみましょう.
(セッティング)
学生納付特例で54ヶ月間免除を受けた.(院卒の場合)
その後は60才まで免除は受けずきちんと保険料を支払う.
年金受給額年80万.(物価連動する制度が続くと仮定し,40年後に現在の価値で言うところの80万円が支給されるとします)
(追納するケース)
追納額:1.4万円×54ヶ月 = 75.6万円
65歳以降の受給額 年80万
(追納しないケース)
追納額:0万円
65歳以降の受給額 年80万×(426÷480) = 71万円
となるので,差が埋まるのは
75.6万 ÷ (80-71) 万/年 = 8.4年
ということになりますね.65歳から支給されるとしたら74歳ぐらいまで生きるとプラスになります.
もし,75.6万円を40年運用するとすると年1%(年2%インフレになるとすると実質年3%の運用が必要です)で安定的に運用できたとすると
75.6万 × (1.01) ^ 40 = 113万円
になるので
113万 ÷ (80-71) 万/年 = 12.5年
となり78歳ぐらいまで生きないとプラスになりません.非常に微妙なラインをついてきますね(笑)
というわけで,追納すべきかどうかについてはケースバイケースだと思います.ここでは,考慮してませんが20代の75万円と60代の75万円では持つ意味が変わっている可能性が高いですしね.
65歳になったときの年額10万くらいの差なんてどうでもいいと考えるのも,65年後にどうなっているかなんかあまりに不確実性が高いので悪いほうのケースを想定して今のうちに払っておくという考えもどちらも正解だと思います.
最後に,もし追納する場合について少しだけアドバイス.額が大きいので少しでも安くしたいところなんですが,実は保険料は所得から全額控除できるという点を利用して実質的に安くすることができます.
すなわち,就職して所得税を払うようになったときに追納分を控除してもらうことで所得税率5%分お得になります.
さらに所得のカウントは1月~12月まで.そして年金は年度ごとに保険料が変わるので(4月になると免除部分の加算額が増えます)
「就職する年の1月~3月の間に追納する」
のがベストです.(追納した分は所得から控除され,年度が変わっていないので加算額が増えていません)
というわけで,M2の人は追納するかどうか決断すべき時期というわけですね.