今でもあの時のことは鮮明に想い出せるし、何から何まで私の中で強烈に残っている。
二年前の暑い暑い八月の終わり。
太陽の光が早く起きろと燦々と照らしつける中、限りある命を全うしようと鳴き叫ぶ蝉の声で目が覚めた。
上体を起こし、からだ全体を使って背伸びをする。
眩しい太陽の光を左手で遮りつつ、枕元にある時計へと手を伸ばす。
長針は5時を指し、短針は11時と12時の間、少し11時寄りを指していた。
11時25分…
寝坊だ。
恐る恐る携帯電話の不在着信を確認すると
○×店長 不在着信16件…
私は飛び跳ねるという表現以外無いほどにベッドから飛び出した。
ファンデーションだけという適当さで化粧をものの5分で終わらせ、歯ブラシに歯磨き粉をつける。
歯を磨くというよりも、歯ブラシを加えているだけという状態でジーパンに足を通すが、こんな時に限ってスキニージーンズを手繰り寄せてしまう自分自身を恨みつつ、履き終える。
昨日洗って干しておいたTシャツが乾いていることを手のひらで確認しながら、ソファーからブラジャーをひったくる。
雑に着替えを済ませ、化粧ポーチと携帯電話をバックに入る。
玄関に向かう途中で右足の小指をタンスにぶつけたが今は気にしてはいられない。
ぶつけた小指が悲鳴をあげているが、クロックスを履いて痛みを誤魔化した。
自転車のカゴにバックを入れ、自転車を漕ぎながら店長へと電話を掛けるがお昼時のこの時間に店長が携帯に出るはずもなく…
9時~15時というシフトにも関わらず、明け方近くまで「ホリデイ」という洋画を見ていた自分と、涎を垂らすまでとはいかないが、クーラーという文明の利器が齎す絶妙な空調にかまけ、目覚まし時計を止めてまで惰眠を貪り続けた数時間前の自分が恨めしい。
呼び出し音を耳にしながら私は自分の行いを悔いていた。
つづく