大目玉を食らった。
元凶はもちろん私にある。
9時には制服を来てフロアに立っているはずの私が、12時30分に出勤してきたとなれば、それは大目玉も食らうだろう…
チェーン店ではなく、ナポリタンとブレンドコーヒーが美味い昔ながらの洋風レストランのこの店に、大掛かりな調理器具等無い。
学生が大いに賑わうこの町では、ランチタイムはどの店でも猫の手も借りたいほどの忙しさだ。
ましてや今日は元々バイトの出勤人数も少なく、なんとか店が回るギリギリの戦力だった…
そこに追い打ちをかける私の寝坊…
飲食店にも関わらず、油で汚れた手…
自分で言っててため息が出る。
きっと、私が逆の立場でも怒る。いや、クビにするかもしれない…
だからこそ、いつもは避ける店長の唾も怒号も、全て甘んじて受け止めた。
嵐のようなランチタイムが過ぎ去ってから、キッチンでどのくらい怒られていたのか覚えてはいない。
今日はきっと仏滅だなぁなんて考えていると、ふと入り口のドアの鐘が鳴り、いらっしゃいませという言葉の後に、面接に来ましたという言葉が聞こえた。
これは神の救いだとばかりに口元が緩んだ。
案の定、明日からは遅刻しないようにと締め括り店長は表に行き、面接に来た人を裏の休憩所へと連れて行く。
ため息をついて私も更衣室へと向かおうとしたが、「また会いましたね」という言葉を投げ掛けられ振り返った。
振り返った先には、先刻助けてくれた彼がこちらを見て微笑んでいた。
私は思わず「あっ!さっきの!!」と叫んでしまい店中の注目を一身に浴び、彼はそれを見てまた微笑んだ。
顔が赤面しているのが分かる。
ただでさえ今日は薄塗のファンデーションだけ…彼にもこの朱色に染まった顔を見られているのだと思うと、この場から消えたくなった。
居ても立っても居られなくなり、私は更衣室ではなく冷凍室に入り頬の火照りを冷ました。
つづく