こういう話があります。
寒さの中、二匹のヤマアラシが互いに暖め合うために、その棘のある体を寄せ合う。
しかし、近づきすぎるとお互いのカラダの針がそれぞれ相手に刺さってしまう。
そして、痛みで離れると、体温が下がり、また凍えてしまう。
二匹は近づいたり離れたりを繰り返し、何度も試行錯誤した末にお互いに傷つかず、寒くも無い距離を見つける。
というショーペンハウエルという哲学者の寓話がある。
人間関係でも、近づきすぎたり干渉しすぎたりするとトラブルの元になり、互いに傷つけあう事もあり、お互いの距離が大切だという話。
こういうことは、友人、恋人、家族だけではなく、人間関係全般に起きているものだが、特に親しい仲が決定的にダメージが大きくなる。なぜなら、親しい仲ほどその互いの温かさを欲し、時には心が血に染まるほど抱きしめてしまい、その後遠くに離れしまう。ときにはその痛みが忘れられず、永遠に近づかないようになることもある。そうならないような互いの距離が必要なのだ。
私も恋人ができて、このジレンマに陥り、苦しかった記憶がある。相手の中に入りすぎず、適切な距離をとる、言葉では簡単だが、それができなかったことがあった。愛してるが故、過干渉や疑心暗鬼になったりする。相手の何気ないことばで傷つく、他の男と会っているんだろうか、でも信じたいし、離れたくない。こんな思いを繰り返し、喧嘩をしては仲直りしの繰り返し。段々と距離がわかるようになった。
ヤマアラシのジレンマとは、自己の自立と相手との一体感、そして、試行錯誤の末、両者のにとって最も適切な距離を築く、そんなことを示していると思う。
私も後悔のないよう、これ以上大切な人をなくさないよう、他人との適切な距離感を保ち、互いにちょうどいい距離というものを見極めていきたい。