日本の消費税(付加価値税)の税率は、外国と比べて低く、財政再建のためには消費税率を上げる必要があると財務省は主張しています。財政再建のために消費税率を上げることは、結果として税収全体を減らしてしまい、本当は消費税率を上げるべきではないことは、以前の記事
で説明してきました。
今回は、日本の税率が外国と比べてどのくらい低いのかを確認してみたいと思います。下のグラフは各国の付加価値税率を表したものです。
資料:財務省「付加価値税率の国際比較」
上記のグラフをみると、日本より低いのは、カナダ、タイ、シンガポール、台湾しかなく、多くの国が日本より税率が高くなっています。カナダは、連邦の付加価値税の他に、州ごとにも付加価値税が課されるため、実際には日本に近い税率となることもあるようです。
EU加盟国は、付加価値税の標準税率を15%以上とすることが決められており、多くの国が20%以上となっています。
これだけだと、日本の消費税率は低く、もっと上げてもいいのかもと思ってしまう人も出てきてしまうかもしれません。しかし、上のグラフにはアメリカが含まれていません。アメリカは国全体で決められた付加価値税はなく、州・郡・市ごとに小売売上税の税率が決められています。
アメリカでは、小売売上税が州ごと(ワシントンDCは連邦政府直轄地区)に決められており、税率は以下のようになっています。
日本より税率が高い州は12あり、日本より税率が低い州は39あります。オレゴン州など、税率が0%で小売売上税がない州も4つあります。
州税の他に郡税や市税が付加されることがありますので、州の税率よりは高くなることもありますが、合計ではほとんどの地域で6~10%になるようです。
また、小売売上税は付加価値税とは異なる税制です。小売売上税は、最終消費者が消費したときだけに課税されます。中間業者が再販目的で仕入れる場合には課税されません。付加価値税は、商品やサービスを購入するたびに課税される多段階課税ですので、中間業者が仕入れるたびに課税されます。
マスコミなどはよく、外国と比較するときにはアメリカを持ち出すのですが、付加価値税についてはアメリカを取り上げることはあまり見たことがありません。財務省も、付加価値税についてアメリカを参考にしろとは言っていないと思います。
前述の付加価値税率(標準税率)の国際比較のデータは、財務省のホームページにあるのですが、備考として次のような記述しかしていません。
アメリカは、州、郡、市により小売売上税が課されている(例:ニューヨーク州及びニューヨーク市の合計8.875%)。
日本よりも税率が低い地域があることについては触れず、日本の消費税率である8%より高い例を挙げています。まあ、10%を超えるような地域を例にしていないだけ、まだましなのかもしれませんが・・・
財務省やマスコミは、消費税(付加価値税)の議論をするときに、ヨーロッパなどだけでなくアメリカとも比較するべきではないでしょうか。
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