通い慣れた道。
通い慣れた弁護士事務所。
つい半年前まで、自転車で通っていた道と弁護士事務所だ。
10時に…と約束したが、例の如くかなり早く到着してしまった。
遅刻しないか心配で、予定より早く出てしまうし、自然とアクセルを踏む足も強くなってしまう(笑)
早く来すぎたので、高速を降りてから前のマンションへ来てみた。
勿論、前を通過するだけだけど…
まだ半年しか離れていないのに、何だかすごく遠い昔のようだ。
空室になってるか賃貸情報をスマホで見てみるが、このマンションについては無かった。
駐車スペースには、見慣れた車の中に知らない車があった。
このマンションには、もう二度と来ないだろう。
隣の奥さんには、とても良くしていただいた。
子供達の夜泣きが酷い時期、顔を合わせる度に謝る私へ
「泣くのは元気な証拠。泣かない赤ちゃんなんていないのよ。周りの事は今は気にしないでいいからね」
優しい顔で、そう言ってくれてた。
初めての子育てに、まだ友達もできないまま一人ぼっちだった時期の私は、どれだけその言葉に救われただろう。
自宅不倫を目の当たりにして、目の焦点も合っていなかっただろう私。
駅まで歩く…と言う私を駅まで送ってくれた。
ありがとうございました…
お元気で…
そう心の中で呟いた。
ここでの生活を思い出す。
アキ妊娠中から引っ越してきた。
日に日に大きくなるお腹。
強い胎動。
アキが生まれ、首がすわった、寝返りできた、ハイハイした、座った、立った、歩いた…
毎日が初めてだった。
毎日が奇跡と笑顔の連続だった。
初めて熱が出た時はハァハァ苦しそうなアキの泣き顔を片時も目を離さずに見つめながら看病し、不安な夜を明かした。
二人だったのが、三人になり、四人になった。
クリスマスや誕生日。
普段の何気ない会話で笑いあった日々
ツーンと、鼻の奥と目頭が熱くて痛くなった。
口を開け、ひゅうっと息を吸い込むと同時に、涙が溢れた。
ゆっくりブレーキから足を離す。
色んな気持ちがぐしゃぐしゃになるのを感じながら、アクセルを踏んだ。
駐車場の車の中で手早く化粧を直した
時間になったので、事務所へ向かう
手土産に焼菓子を買って行ったので、それを事務パートさんへ渡し、ボスや皆さんへの挨拶もそこそこに、すぐ笹木先生との面談が始まった。
笹木先生→来週かその次あたりの調停で、おそらく不成立になるかと思います。その場合は、裁判官が家裁にいる●曜日に3回目の次回期日を設けて、正式に不成立という形になります。
3月中は、裁判所内に勤務する人達の異動や引き継ぎシーズンなので、3回目は早くて4月、遅くて5月になると思われます。
私→えっ!そんなに空くんですか?
笹木先生→そうですね。早くて今回で不成立にして、4月に正式に調停不成立となっても…審判に移行して金額が決定するには、また多少時間がかかりますね。
そしてトオルさんと顔を合わせる事になります。
私→トオルに殴り掛かっていったら…止めてくださいね(笑)
笹木先生→全力で止めるように見せかけて、二人でタックルってどうですか?訳わからない言いがかりで苦情出されましたし(笑)
けど、ご主人と私に挟まれたら、マナさんポキっと折れちゃいそう(笑)
私→そこに、たまたま包丁持ってた!って事で…私がブスッと(笑)
どうですかね?(笑)
笹木先生→くくく(笑)たまたま包丁を持って裁判所には出向かないです(笑)
ペンぐらいでどうですか?(笑)
いやいや。真面目な話、調停不成立になればおそらくトオルさんは離婚裁判を起こしてくると思います。
私→裁判ではどうなりそうですか?
笹木先生→本来、有責配偶者からの離婚請求は棄却されております。それが当然であり、王道的な流れと言えます。
只、最近は有責配偶者が原告であっても、婚姻破綻しており、夫婦の愛情回復の見込み無しと思われる場合は、離婚を認められる事もあります。
有責配偶者が原告の離婚請求だけど、被告の言い分を聞いていても、既に婚姻破綻はしてるんだから離婚やむなし、という事で離婚を認めるんです。
こればっかりは裁判官の好みです。
但しトオルさんの場合、あれだけマナさんの事を(バカ女との慰謝料裁判の書面で)ボロボロに書いてますから…
離婚が認められる可能性は高いです。
そして、こちら側としても、トオルさんの不貞行為や経済的DV等を証拠付けていくので「離婚しません」と言っても、それは説得力がありません。
でも離婚が認められても、別居前からの不貞行為には変わらないので、名目はどうであれ慰謝料を支払うように命じられるでしょう。
私→なんかムカツク流れですね。
私がどんなに離婚しない!と言っても駄目ですか?
笹木先生→そうなると、こちらはトオルさんへの攻撃力は低くなります。
「不貞行為があっても経済的DVがあっても、私は帰りを待っています」としか言えません。
同居義務違反と悪意の遺棄で…何とかできるかもしれませんが…。
それでも、あちらはバンバンでっち上げでも何でもやってくるでしょう。
それについての反論の説得力が弱くなります。勿論、それを証明してもらったり、証明したり…になります。
何故離婚したくないのですか?という問いに「愛しているからです」と言わざるを得ません(笑)
そうなると、フジキ弁護士はそれを逆手に取るでしょう。
愛しているのなら…!と。
私→うわーそれは腹立ちますねー。
フジキ弁護士、本当に面倒な人ですね
笹木先生→ふふ(笑)弁護士なんて皆そんなものです。
依頼人の為に全力を尽くします。
その後は、色々と相談したり、証拠データとこちらの書面の整合性のすり合わせをした。
私は嘘をつかない。
真実しか主張しない。
正直者は馬鹿を見る…かもしれない。
だけど、日本の司法はそんな事を許すものではないと信じるしかない。
面談が終わり、急いで帰った。
LINEで
サナ→双子2人とも熱出した40度近い
アクアライ◎とレトルトの離乳食を買い込んで帰った。
タローくんは、一週間山梨だ
明日の朝一番で小児科へ行く予約を取り付けて、看病した。
アキとハルは、実家に一晩だけ泊まらせてもらうことにした。
本音を言えば、2人の暖かくて小さい手とぷにぷにの頬に触れて、荒んだ心を洗い流したかったけど…
私の経験上、双子はインフルエンザや風邪ではなく、突発性発疹のような気がした。
グズグズ機嫌が悪くて、咳や鼻水だとかの風邪の症状も無い。
そして、眠らない
(笑)
私→まぁ時期的にもインフルエンザや風邪かもしれないし…念のため予約とっといたら?
サナ→うん、そうする。
初めての事でパニックになるサナ
今日のように一週間の出張や交代勤務のあるタローくんには、多分頼れないのだろう。
そんな中、只でさえ双子の子育てで毎日大変な思いをしているんだ。
泣き叫びながら眠らない双子を一人ずつ抱っこするサナと私。
抱っこしながらバランスボールに座ってユラユラするサナ
私は抱っこしながら立ってユラユラしていた
私が抱っこしていた双子①が先にスーッと眠った。
ずっしり重くなって、完全に寝たのを確認してそっと布団の上に置いた。
サナの双子②は、まだ泣き叫んでる。もう泣きすぎて声が掠れてる。
サナは、うんざりした表情をしてバランスボールでユラユラする事もせず、只座っているだけだった。
変わるから、少しトイレとお茶休憩してきたら?と言って、変わる。
うぎやーーーん!と泣き叫び体を反らせる双子②
わーすごいすごい!イナバウアーだ❦ママじゃなくてゴメンネーほぉらオバチャンだよぉ❦お熱やだねー辛いねーだいじだいじ❦
等とあやしながら抱っこした。
アキもハルも眠れない時は、こうやって抱っこしていたなぁ…
おむつを替え、汗だくの下着と服を着替えて、アクアライ◎を飲ませた。
泣き疲れていたのだろう、しばらくしたら双子②もスースー眠った。
バランスボールに浅く座って、ユラユラしながら、背中からお尻にかけてゆっくりトントンなでなで。
ピクッという反応をしなくなり、口を半開きにして眠った双子②を、そっと布団の上に移動させた。
双子②は泣きすぎて目の周りが赤くふやけてる。
双子①はぐっすりだ。さっとおむつを替えた。
だいじだよーと、二人の頭を撫でる
時計を見たら午前2時半になっていた
壁の湿温計を見て、そっとサナのいるリビングに降りて行った。
エアコンもつけずに、寒いリビングでサナは煙草片手にビールを飲んでいた
私→二人とも寝たよ。おむつも替えたし。今夜は私が見てるからもう寝な。
サナの一言に驚いてしまった。
「私ばっかり!こんなに苦しむなら、子供なんていらない!」
そう吐き捨てるかのように言ったサナ
けどボロボロと泣くサナの顔を見て、本心じゃないと思った。
ここで「母親のくせに何言ってんの!ビールなんて飲んで!」と、サナを叱りつけるのは簡単だ。
甘やかしてると言われるかもしれないけど、私はそれを言わなかった。
私→うちはアキ一人でさえ初めての子育てで大変だったから、双子のサナは想像できない程大変なんだと思う。
だけどさ、サナには沢山頼れる人がいるじゃん?だから…
サナ→何それ!私には頼れる人が沢山いるけど、お姉ちゃんは当時は誰もいなかったんだから、もっと頑張れって言いたいの?!子供放っておいてビールに煙草なんて母親失格だって言いたいんでしょ?!
私→そんな事言ってないでしょ。頼れる人がいるなら甘えてもいいんだから思いつめるなって言いたかったのに、最後まで話を聞かないで思い込みで軽々しく言うんじゃないの!
サナ→………私はバカだから、お姉ちゃんみたいに何でもできないの!
比べられてもう本当に嫌なの!
昔から皆お姉ちゃんばっかり褒めて、なのにサナは…って!!
勉強も運動も料理も掃除も洗濯も!自分の子育てだって、私は何もできないんだよ!
サナの言葉は悲しかった…
勿論、本心じゃないのは分かってる
言い終わった後のサナの顔を見れば、そんなのよく分かる。
今はメンタルが落ちてるだけで、頭がぐちゃぐちゃになって何でも不満をぶつけたいだけなんだ…と
私→ちゃんと家事できてるじゃん。
育児本だって、こんなにあるじゃん。
そりゃ成績と運動は私のほうが良かったけどさ〜私は私で、周りからは「お姉ちゃんなのに、お姉ちゃんなんだから」って言われてたから頑張ってたもん
サナ→そうなの?
私→そうだよ!おじいちゃんなんて、漢字テストに出た漢字をノートに30回ずつ書けって言われたし(笑)
なわとびの二重飛びが20連続でできるまで夕ごはん貰えなかったよ(笑)
リイチやサナの時は無かったでしょ?
おじいちゃん、私を医学部か薬学部に入れたかったみたいなんだけど、私がそういうのに興味無かったもんだから、毎日ブチギレしてて激怒しててさ(笑)
めっちゃ大変だったし(笑)
毎日嫌で嫌で…当時、何回も家出してたもん、私(笑)
そこで、やっとサナの笑顔が戻った。
絞り出すような声で肩を震わせながら
サナ→お姉ちゃん、ごめんね…
いつもありがとう
私いつも助けてもらってるのに酷い事言っちゃってさ…私本当に最低だ
聞こえてたよ。
だけど聞こえないフリをした。
私→ん?何?さーて、私も一服して上にあがるからね!
煙草一本もーらい!(笑)
ビールと煙草の匂いが充満したリビングダイニングの窓を全開にした。
私は換気扇の下で煙草を吸った。
一服後、歯磨きと洗顔をして上にあがる。
サナがノロノロと付いてくる。
今日はゆっくり寝な!と、サナの肩をポンと叩いて寝室に見送った。
双子は、同じ寝相をしていた。
二人の頭をナデナデして、私も布団に横になった。
色んな思いが頭を駆け巡る。
サナから言われた言葉が引っかかった訳じゃない。
あそこまで疲弊して追いつめられてしまっているサナを放っておけないな…と考えていた。
通い慣れた弁護士事務所。
つい半年前まで、自転車で通っていた道と弁護士事務所だ。
10時に…と約束したが、例の如くかなり早く到着してしまった。
遅刻しないか心配で、予定より早く出てしまうし、自然とアクセルを踏む足も強くなってしまう(笑)
早く来すぎたので、高速を降りてから前のマンションへ来てみた。
勿論、前を通過するだけだけど…
まだ半年しか離れていないのに、何だかすごく遠い昔のようだ。
空室になってるか賃貸情報をスマホで見てみるが、このマンションについては無かった。
駐車スペースには、見慣れた車の中に知らない車があった。
このマンションには、もう二度と来ないだろう。
隣の奥さんには、とても良くしていただいた。
子供達の夜泣きが酷い時期、顔を合わせる度に謝る私へ
「泣くのは元気な証拠。泣かない赤ちゃんなんていないのよ。周りの事は今は気にしないでいいからね」
優しい顔で、そう言ってくれてた。
初めての子育てに、まだ友達もできないまま一人ぼっちだった時期の私は、どれだけその言葉に救われただろう。
自宅不倫を目の当たりにして、目の焦点も合っていなかっただろう私。
駅まで歩く…と言う私を駅まで送ってくれた。
ありがとうございました…
お元気で…
そう心の中で呟いた。
ここでの生活を思い出す。
アキ妊娠中から引っ越してきた。
日に日に大きくなるお腹。
強い胎動。
アキが生まれ、首がすわった、寝返りできた、ハイハイした、座った、立った、歩いた…
毎日が初めてだった。
毎日が奇跡と笑顔の連続だった。
初めて熱が出た時はハァハァ苦しそうなアキの泣き顔を片時も目を離さずに見つめながら看病し、不安な夜を明かした。
二人だったのが、三人になり、四人になった。
クリスマスや誕生日。
普段の何気ない会話で笑いあった日々
ツーンと、鼻の奥と目頭が熱くて痛くなった。
口を開け、ひゅうっと息を吸い込むと同時に、涙が溢れた。
ゆっくりブレーキから足を離す。
色んな気持ちがぐしゃぐしゃになるのを感じながら、アクセルを踏んだ。
駐車場の車の中で手早く化粧を直した
時間になったので、事務所へ向かう
手土産に焼菓子を買って行ったので、それを事務パートさんへ渡し、ボスや皆さんへの挨拶もそこそこに、すぐ笹木先生との面談が始まった。
笹木先生→来週かその次あたりの調停で、おそらく不成立になるかと思います。その場合は、裁判官が家裁にいる●曜日に3回目の次回期日を設けて、正式に不成立という形になります。
3月中は、裁判所内に勤務する人達の異動や引き継ぎシーズンなので、3回目は早くて4月、遅くて5月になると思われます。
私→えっ!そんなに空くんですか?
笹木先生→そうですね。早くて今回で不成立にして、4月に正式に調停不成立となっても…審判に移行して金額が決定するには、また多少時間がかかりますね。
そしてトオルさんと顔を合わせる事になります。
私→トオルに殴り掛かっていったら…止めてくださいね(笑)
笹木先生→全力で止めるように見せかけて、二人でタックルってどうですか?訳わからない言いがかりで苦情出されましたし(笑)
けど、ご主人と私に挟まれたら、マナさんポキっと折れちゃいそう(笑)
私→そこに、たまたま包丁持ってた!って事で…私がブスッと(笑)
どうですかね?(笑)
笹木先生→くくく(笑)たまたま包丁を持って裁判所には出向かないです(笑)
ペンぐらいでどうですか?(笑)
いやいや。真面目な話、調停不成立になればおそらくトオルさんは離婚裁判を起こしてくると思います。
私→裁判ではどうなりそうですか?
笹木先生→本来、有責配偶者からの離婚請求は棄却されております。それが当然であり、王道的な流れと言えます。
只、最近は有責配偶者が原告であっても、婚姻破綻しており、夫婦の愛情回復の見込み無しと思われる場合は、離婚を認められる事もあります。
有責配偶者が原告の離婚請求だけど、被告の言い分を聞いていても、既に婚姻破綻はしてるんだから離婚やむなし、という事で離婚を認めるんです。
こればっかりは裁判官の好みです。
但しトオルさんの場合、あれだけマナさんの事を(バカ女との慰謝料裁判の書面で)ボロボロに書いてますから…
離婚が認められる可能性は高いです。
そして、こちら側としても、トオルさんの不貞行為や経済的DV等を証拠付けていくので「離婚しません」と言っても、それは説得力がありません。
でも離婚が認められても、別居前からの不貞行為には変わらないので、名目はどうであれ慰謝料を支払うように命じられるでしょう。
私→なんかムカツク流れですね。
私がどんなに離婚しない!と言っても駄目ですか?
笹木先生→そうなると、こちらはトオルさんへの攻撃力は低くなります。
「不貞行為があっても経済的DVがあっても、私は帰りを待っています」としか言えません。
同居義務違反と悪意の遺棄で…何とかできるかもしれませんが…。
それでも、あちらはバンバンでっち上げでも何でもやってくるでしょう。
それについての反論の説得力が弱くなります。勿論、それを証明してもらったり、証明したり…になります。
何故離婚したくないのですか?という問いに「愛しているからです」と言わざるを得ません(笑)
そうなると、フジキ弁護士はそれを逆手に取るでしょう。
愛しているのなら…!と。
私→うわーそれは腹立ちますねー。
フジキ弁護士、本当に面倒な人ですね
笹木先生→ふふ(笑)弁護士なんて皆そんなものです。
依頼人の為に全力を尽くします。
その後は、色々と相談したり、証拠データとこちらの書面の整合性のすり合わせをした。
私は嘘をつかない。
真実しか主張しない。
正直者は馬鹿を見る…かもしれない。
だけど、日本の司法はそんな事を許すものではないと信じるしかない。
面談が終わり、急いで帰った。
LINEで
サナ→双子2人とも熱出した40度近い
アクアライ◎とレトルトの離乳食を買い込んで帰った。
タローくんは、一週間山梨だ
明日の朝一番で小児科へ行く予約を取り付けて、看病した。
アキとハルは、実家に一晩だけ泊まらせてもらうことにした。
本音を言えば、2人の暖かくて小さい手とぷにぷにの頬に触れて、荒んだ心を洗い流したかったけど…
私の経験上、双子はインフルエンザや風邪ではなく、突発性発疹のような気がした。
グズグズ機嫌が悪くて、咳や鼻水だとかの風邪の症状も無い。
そして、眠らない
私→まぁ時期的にもインフルエンザや風邪かもしれないし…念のため予約とっといたら?
サナ→うん、そうする。
初めての事でパニックになるサナ
今日のように一週間の出張や交代勤務のあるタローくんには、多分頼れないのだろう。
そんな中、只でさえ双子の子育てで毎日大変な思いをしているんだ。
泣き叫びながら眠らない双子を一人ずつ抱っこするサナと私。
抱っこしながらバランスボールに座ってユラユラするサナ
私は抱っこしながら立ってユラユラしていた
私が抱っこしていた双子①が先にスーッと眠った。
ずっしり重くなって、完全に寝たのを確認してそっと布団の上に置いた。
サナの双子②は、まだ泣き叫んでる。もう泣きすぎて声が掠れてる。
サナは、うんざりした表情をしてバランスボールでユラユラする事もせず、只座っているだけだった。
変わるから、少しトイレとお茶休憩してきたら?と言って、変わる。
うぎやーーーん!と泣き叫び体を反らせる双子②
わーすごいすごい!イナバウアーだ❦ママじゃなくてゴメンネーほぉらオバチャンだよぉ❦お熱やだねー辛いねーだいじだいじ❦
等とあやしながら抱っこした。
アキもハルも眠れない時は、こうやって抱っこしていたなぁ…
おむつを替え、汗だくの下着と服を着替えて、アクアライ◎を飲ませた。
泣き疲れていたのだろう、しばらくしたら双子②もスースー眠った。
バランスボールに浅く座って、ユラユラしながら、背中からお尻にかけてゆっくりトントンなでなで。
ピクッという反応をしなくなり、口を半開きにして眠った双子②を、そっと布団の上に移動させた。
双子②は泣きすぎて目の周りが赤くふやけてる。
双子①はぐっすりだ。さっとおむつを替えた。
だいじだよーと、二人の頭を撫でる
時計を見たら午前2時半になっていた
壁の湿温計を見て、そっとサナのいるリビングに降りて行った。
エアコンもつけずに、寒いリビングでサナは煙草片手にビールを飲んでいた
私→二人とも寝たよ。おむつも替えたし。今夜は私が見てるからもう寝な。
サナの一言に驚いてしまった。
「私ばっかり!こんなに苦しむなら、子供なんていらない!」
そう吐き捨てるかのように言ったサナ
けどボロボロと泣くサナの顔を見て、本心じゃないと思った。
ここで「母親のくせに何言ってんの!ビールなんて飲んで!」と、サナを叱りつけるのは簡単だ。
甘やかしてると言われるかもしれないけど、私はそれを言わなかった。
私→うちはアキ一人でさえ初めての子育てで大変だったから、双子のサナは想像できない程大変なんだと思う。
だけどさ、サナには沢山頼れる人がいるじゃん?だから…
サナ→何それ!私には頼れる人が沢山いるけど、お姉ちゃんは当時は誰もいなかったんだから、もっと頑張れって言いたいの?!子供放っておいてビールに煙草なんて母親失格だって言いたいんでしょ?!
私→そんな事言ってないでしょ。頼れる人がいるなら甘えてもいいんだから思いつめるなって言いたかったのに、最後まで話を聞かないで思い込みで軽々しく言うんじゃないの!
サナ→………私はバカだから、お姉ちゃんみたいに何でもできないの!
比べられてもう本当に嫌なの!
昔から皆お姉ちゃんばっかり褒めて、なのにサナは…って!!
勉強も運動も料理も掃除も洗濯も!自分の子育てだって、私は何もできないんだよ!
サナの言葉は悲しかった…
勿論、本心じゃないのは分かってる
言い終わった後のサナの顔を見れば、そんなのよく分かる。
今はメンタルが落ちてるだけで、頭がぐちゃぐちゃになって何でも不満をぶつけたいだけなんだ…と
私→ちゃんと家事できてるじゃん。
育児本だって、こんなにあるじゃん。
そりゃ成績と運動は私のほうが良かったけどさ〜私は私で、周りからは「お姉ちゃんなのに、お姉ちゃんなんだから」って言われてたから頑張ってたもん
サナ→そうなの?
私→そうだよ!おじいちゃんなんて、漢字テストに出た漢字をノートに30回ずつ書けって言われたし(笑)
なわとびの二重飛びが20連続でできるまで夕ごはん貰えなかったよ(笑)
リイチやサナの時は無かったでしょ?
おじいちゃん、私を医学部か薬学部に入れたかったみたいなんだけど、私がそういうのに興味無かったもんだから、毎日ブチギレしてて激怒しててさ(笑)
めっちゃ大変だったし(笑)
毎日嫌で嫌で…当時、何回も家出してたもん、私(笑)
そこで、やっとサナの笑顔が戻った。
絞り出すような声で肩を震わせながら
サナ→お姉ちゃん、ごめんね…
いつもありがとう
私いつも助けてもらってるのに酷い事言っちゃってさ…私本当に最低だ
聞こえてたよ。
だけど聞こえないフリをした。
私→ん?何?さーて、私も一服して上にあがるからね!
煙草一本もーらい!(笑)
ビールと煙草の匂いが充満したリビングダイニングの窓を全開にした。
私は換気扇の下で煙草を吸った。
一服後、歯磨きと洗顔をして上にあがる。
サナがノロノロと付いてくる。
今日はゆっくり寝な!と、サナの肩をポンと叩いて寝室に見送った。
双子は、同じ寝相をしていた。
二人の頭をナデナデして、私も布団に横になった。
色んな思いが頭を駆け巡る。
サナから言われた言葉が引っかかった訳じゃない。
あそこまで疲弊して追いつめられてしまっているサナを放っておけないな…と考えていた。